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2007年03月25日(日) 16時56分

タミフル「精神・神経症状」280件 厚労省に報告朝日新聞

 厚生労働省が服用と異常行動との関連性を調べているインフルエンザ治療薬「タミフル」について、01年2月の発売以降に報告があった約1800件の副作用のうち、異常行動につながる心配のある「精神・神経症状」(意識障害や異常行動、幻覚、妄想など)が少なくとも約280件あったことが24日、朝日新聞の調べでわかった。10歳未満の子どもの例も20件以上報告されていた。

 医薬品の副作用報告は、医師の判断に基づき医療機関から製薬会社に寄せられ、その後、会社から国に届く。同省は年に3、4回開く、薬事・食品衛生審議会の医薬品等安全対策部会で、最新の副作用事例をまとめた資料を配布し、死亡例など重大とみられる事例について分析をしている。

 最近10回の部会にはかられた副作用報告(03年7月〜06年12月分)を集計したところ、「精神・神経症状」にあたる副作用が約280件あった。内訳は、意識レベルの低下や失神などの「意識障害」が63件、転落などの「異常行動」が46件、幻覚などを起こす「せんもう」が31件など。「自殺未遂」2件や「落ち着きのなさ」7件なども含まれていた。

 このほか、突然死6件、骨折4件、脳挫傷1件などがあった。骨折や脳挫傷は、転落や転倒などの異常行動が原因だった可能性もある。

 同省がこれまで公表している飛び降り・転落などの異常行動は10代の16件と、成人の7件の計23件にとどまっている。

 同省は04年5月、10代の少女が服用後に窓から飛び降りようとし、家族が防ぐという事例などがあったとして、タミフルの添付文書の重大な副作用項目に「精神・神経症状」を加えるよう、輸入販売元の中外製薬に改訂を指示していた。

 ただ、このケースの後も副作用について、死亡例以外は深く掘り下げていなかった。厚労省は「医薬品全体の副作用報告は1日平均200件もあるため、死亡例を中心に分析してきた。今回の問題を受けて、約1800件のすべてを再調査する」としている。

http://www.asahi.com/life/update/0325/002.html