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2007年03月25日(日) 17時15分

証券優遇税制廃止の場合、年7800億円超の税収増朝日新聞

 1年の延長が今国会で決まった証券優遇税制を廃止していれば、国税・地方税合わせて年7800億円以上の税収増が見込まれることが、政府の試算でわかった。国・地方の税収の1%程度に相当する。証券優遇税制に対しては、恩恵が少数の富裕層に集中するとの指摘が強く、巨額の減税規模に改めて批判が強まりそうだ。

 証券優遇税制では、個人が得た上場株式や公募株式投資信託の売却益・配当にかかる税率を、本来税率の半分の10%に軽減している。税収は株価や取引量、配当水準によって大きく変わるが、財務・総務両省は07年度の税収見通しに基づき、昨年と同様の市況が当面続くとの条件で、軽減税率を廃止した場合の増収効果を試算した。

 試算での増収額は、国税(所得税)の配当分が2584億円、売却益分は3691億円。地方税(住民税)では配当分が646億円、売却益分は923億円。国・地方合計で7844億円になる。売却益の税額は源泉徴収分だけのため、試算に含めていない確定申告分も合わせれば、全体の減税規模は1兆円前後に達するとみられる。

 証券取引の軽減税率は03年に5年間の特例として導入された。売却益は07年末、配当は08年3月末に廃止される予定だったが、政府・与党は株式相場への配慮から昨年末に1年延長を決定。野党から「金持ち優遇だ」などと批判が出たが、関係法改正案は23日の参院本会議で与党の賛成多数で可決、成立した。

http://www.asahi.com/politics/update/0325/006.html