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2007年03月25日(日) 12時01分

’07知事選:ねじれ三重に かつての「同志」は今や「敵」? /神奈川毎日新聞

 自民、民主、社民の各党本部と県の組織などを巻き込み、知事選に三重のねじれが生じている。前例のない“仁義なき戦い”は、拡大する無党派層の関心をも呼び起こせるか。【足立旬子、稲田佳代】
 ◆ねじれ・その1
 ◇自民党本部と県連
 党本部は2月、県連が出した杉野正氏(48)の推薦申請を「知名度がない」と切り捨て、本部内にポスターを張ることも拒否したという。
 ところが今月23日夕、“小泉チルドレン”の新人議員でつくる「83会」事務局が、同会に所属する山内康一衆院議員(川崎市)らに「幹事会と総会で東京都知事(石原慎太郎氏)の選挙応援を議題にする」と伝えてきた。
 石原氏は自民党の支援を受けながら22日の告示日、杉野氏に対抗する現職の松沢成文氏(49)と横浜駅前などに立ち、首都圏連合の推進をアピールして応援。山内議員は「石原氏は党公認の候補じゃないし、神奈川に対立候補の応援に来た。そんな人を応援する必要なんてない。選挙のあり方が政策中心になっているのに、党本部は勝つか負けるかだけで動いている」と怒りを見せる。
 河野太郎県連会長も「党本部は『推薦なんかいらない』と言う石原さんのポスターは張っていた。抗議して撤去させたが、組織として機能していない」と話した。
 ◆ねじれ その2
 ◇民主、社民党と松沢氏
 松沢氏の支持を表明していた社民党県連は24日の三役会で、支持を撤回し「自主投票」とすることを決めた。高橋八一幹事長は「党が東京都知事選で浅野史郎氏を支援しているのに、石原氏を応援した松沢さんは支持できない」と説明する。
 松沢氏と石原氏の共闘に、松沢氏が衆院議員時代に所属していた民主党も揺れている。鳩山由紀夫幹事長は23日に「はなはだ残念」と不快感を表明。県連にもクレームや問い合わせの電話がかかった。県連幹部は「そもそも民主党は勝手連的な応援。(両氏の共闘は)首都圏連合をめぐる無党派知事との連携」と説明しており、松沢氏への支援は続ける方針だ。
 当の松沢氏は「私が石原さんを応援することが、政党のしがらみのなさの現れ。他の候補は政党丸抱え。選挙が終われば『誰のおかげで当選したんだ』と言われ、しがらみで改革ができない」と意に介しない様子だ。
 ◆ねじれ・その3
 ◇埼玉県知事と杉野氏
 杉野氏の再建の手腕を買い、埼玉県の第三セクター、埼玉高速鉄道社長に招いた同県の上田清司知事(58)は22日、石原氏とともに松沢氏の応援に駆けつけた。
 上田氏は元民主党の衆院議員で、松沢氏とは盟友関係。昨年11月の杉野氏の送別会で、かつての部下が盟友の敵となった思いを「また逢う日まで」の替え歌にして「♪あなたは 神奈川にいて 何をしているの〜 それは知りたくない それは聞きたくない」と披露した。
 杉野氏周辺からは「苦労してともに埼玉高速鉄道の再建に取り組んだ仲なのに。こっちに応援に来てもいいぐらい」との声も出ている。
 一方、24日は横浜市戸塚区などで街頭演説をした鴨居洋子氏(62)=共産党推薦=は「私は政党丸抱えではなく、政策が一致したから対等に協力してやっている。(相互応援や公認の)ゴタゴタを見ていると自民も民主も変わらない。私は政策で勝負する」と話した。

3月25日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070325-00000084-mailo-l14