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2007年03月25日(日) 00時00分

同じ敷地に住む嫁 うつ病に読売新聞

 60歳代主婦。30歳代の息子は結婚後、私たちと同じ敷地内に家を建て、住んでいました。でもやがて嫁が「家を出たい」と言い出しました。私たちと考えが違うこともあり、うつ病になったというのです。

 嫁の両親を呼び、話し合いましたが、環境を変えた方がいいと主張します。アパートが見つかるまでと、嫁は実家に帰しました。

 友人にこの話をすると「あなたは1日何回もお嫁さんの家に行き、文句ばかり言っていた。お嫁さんはよく頑張っていた」「自分の娘だったら、とっくに離婚させている」と言われました。ショックでした。

 数か月後、嫁からうつ病がよくなったという連絡がありました。私は「治ったなら家に戻るのが筋」と言いましたが、嫁は再発する恐れがあると拒みました。息子も「子どもを育てる義務があるから家を出る」と言います。がっかりです。

 引っ越しの際、嫁は「こんなことになり申し訳ありません」と謝りましたが、嫁の実家から謝罪はありません。私はしばらくしたら、嫁にうつ病になった経緯を問いただすつもりです。私の行動は間違っていますか。(栃木・M子)

 いいお友達をお持ちですね。そしてあなたは自分にとって都合の悪い言葉を聞く姿勢を持ち、それをお手紙に書く正直さを持っている。これはとても大切なことです。おまけに、マザコンではない息子がいる。今時めずらしいそうした息子を育てたのですから、ご自分に自信を持って下さい。

 ただし現在のやり方を変えないなら、息子夫婦は更に離れていくでしょう。ご自分のやり方は間違っているかというご相談ですが、これは白黒をつける問題ではありません。

 人とのかかわりで大切なのは、自分も相手もどちらかが一方的に主張したり、譲ったりすることではなく、お互いが最も心地よい生き方ができるように、接点を探り、着地すること。あなたはご自分の見方でしかものを見ていませんね。ちょっと相手の立場になってみて下さい。“自分が法律”という生き方をやめ、相手の気持ちを想像する心を育てると、人生は豊かに変わるはずです。

 (海原 純子・心療内科医)

http://www.yomiuri.co.jp/jinsei/shinshin/20070325sy41.htm