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2007年03月24日(土) 00時24分

日興コーディアル、230億円申告漏れ 国税局が指摘朝日新聞

 証券大手の「日興コーディアルグループ」(東京都中央区)が東京国税局の税務調査を受け、05年3月期までの3年間で約230億円の申告漏れを指摘されたことが分かった。このうち約197億円については、海外に設立した子会社から株を受け取った際、生じていた含み益を利益として計上していなかったとの指摘を受けた。同社は過去に欠損金があり、追徴税額は発生しなかった。

 同社の説明や関係者によると、日興コーディアルグループは99年、米シティグループと共同でカリブ海のケイマン諸島に証券子会社を設立。さらにその後、この子会社を通じて、日本に「日興シティグループ証券」(NCG)を設立した。

 ケイマン諸島の証券子会社は03年末ごろNCGに営業譲渡。それに伴い、日興コーディアルはケイマンの子会社が持っていたNCGの株を、出資比率に応じて受け取っていた。

 この際、日興コーディアルは、NCGの資産価値が上昇していたにもかかわらず、ケイマンの子会社の資産価値のままで評価。このため、同国税局は、NCGの資産価値に応じて評価すべきで、実際には多額の含み益が出ていたと認定。含み益は配当とみなして利益に計上すべきだと指摘したという。

 このほかの経理ミスも約33億円あった。

 日興コーディアルは昨年12月、過去の決算で不正に利益を水増ししていたことが発覚し、金融庁から過去最高の5億円の課徴金納付命令を受けた。東京証券取引所は、同社株を一時「監理ポスト」に置いたが、今月12日、上場を維持すると発表した。

 現在、シティグループが株式公開買い付け(TOB)により、日興の子会社化を目指している。

 同社は44年、日興証券として設立。傘下に日興コーディアル証券などを持ち、顧客口座数は225万。06年3月期の営業収益は4762億円で、国内3位。

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 〈日興コーディアルグループの話〉 ケイマン子会社の件は経理ミスだと認識している。その他は一部見解の相違もあったが、指摘に従った。

http://www.asahi.com/national/update/0324/TKY200703230464.html