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2007年03月24日(土) 19時27分

カワウ、狩猟対象に アユなど食べ尽くす被害深刻化朝日新聞

 水辺の鳥カワウが生息地を広げ、放流したアユなどを食べ尽くす漁業被害が各地で深刻化しているため、環境省は鳥獣保護法に基づく狩猟対象に指定する方針を決めた。被害は全国で70億円を超すとされ、ハンターに個体数を減らしてもらうのが狙い。狩猟鳥獣の追加は94年のアライグマなど以来となる。

 カワウは体長約80〜85センチ、体重2キロ前後。水にもぐって魚を丸のみにし、1羽で1日500グラムを食べるとも言われる。

 60〜70年代には、河川の水質汚染などで激減。全国で3000羽以下になり、絶滅も心配されたが、80年代以降、水質改善でエサも増えたことなどから分布域は10倍以上に拡大。正確な生息数は分かっていないが6万羽以上に増えたと推定されている。

 これに伴って放流魚への食害が相次ぎ、全国内水面漁業協同組合連合会によると、03年は43億円だった被害推計額は06年には73億円にふくれあがっている。営巣地では大量のふんによる樹木の枯死も問題となっている。

 関係自治体では、ロケット花火を使った追い払いなどを実施しているものの、十分な効果は上がっていない。漁業団体などの要請で自治体が捕獲を認める「有害捕獲」の数は04年には前年の倍以上の約2万3000羽だった。

 環境省によると、狩猟鳥獣に指定されれば、狩猟可能な期間(おおむね11月〜翌2月)と地域ならば、有害捕獲と違ってハンターは特別な許可なしに捕獲できる。アユの放流時期(4〜5月)前に狩猟することで、放流場所からの追い払い効果が期待できるという。

 ただ、カワウの肉はおいしくないといい、自然保護団体は「狩猟の魅力に欠け、狩猟で捕獲数を増やすのは難しいのではないか」と指摘する。

 狩猟鳥獣は、環境省令でイノシシやマガモなど48種が指定されている。同省は今後、公聴会や審議会などを経て、5月にも省令を改正し、カワウを追加する。一方、減少が著しいウズラは5年間捕獲禁止にする方針。

http://www.asahi.com/life/update/0324/003.html