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2007年03月24日(土) 21時25分

「しゃあない」 66歳の王監督、黒星発進に繰り返す朝日新聞

 しゃあない。

 試合後の王監督は、この大阪弁を何度も使った。「今日の展開ではしゃあない」とか、「あそこで追加点を取りたかったけど、しゃあない」とか。普段は使わない軽めの言葉で、ショックが周りに伝わらないように努めている気がした。

 格下と見られた相手に黒星スタート。しかも、負け方がひどかった。

 何しろエース中のエース、斉藤和が誤算。1回に先取点を許し、3回には重々警戒していたはずのローズに2ラン。追いつき、リードをもらっても、乗れない。大黒柱が作った悪い流れは断ち切れず、リリーフ陣が崩れ、小久保、本多に失策も出て、負けるべくして負けた。

 89番にとっては、昨年7月5日以来となる公式戦の采配。「オープン戦とは違って、やってて『勝ちたい』と思った」。だからこそイニングの途中にもかかわらず、捕手を的場から山崎に替え、6回に小久保がきわどく本塁を陥れると、ベンチを出て両手を広げ、「セーフ」と叫んだ。66歳が、躍動していた。

 開幕戦に負けるのは6年ぶり。「こっちが持ち味を出せなかっただけ」。そして「提出した答案用紙と一緒。教科書を見て間違いだと分かっても、職員室へ忍び込んで(答えを)直すわけにはいかんでしょ」。何とか割り切ろうとしていた。

 カリスマ監督が復帰し、極上の戦力で臨んだシーズン。野球は前評判でやるんじゃないと、思い知らされるスタートになった。

http://www.asahi.com/sports/update/0324/215.html