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2007年03月24日(土) 10時55分

米下院のイラク撤退求める法案に、大統領が拒否権の意向朝日新聞

 米下院は23日の本会議で、08年8月31日までにイラク駐留米軍を撤退させることを求めた法案を賛成多数で可決した。ブッシュ大統領は23日、拒否権を行使する意向を表明した。法案の成立は困難な情勢だが、撤退期限を明示し、政権への拘束力を持つ法案の可決は、上下両院を通じて初めて。

米軍のイラク撤退を求める法案を野党・民主党の賛成多数で可決したと表明する米下院議長(左)=AP

 今回の法案は、イラクなどでの戦費約960億ドル(約11兆3000億円)を盛り込んだ補正予算案に、遅くとも来年8月末を撤退完了期限とする付帯事項をつけた。今年7月1日までにイラクの情勢報告をするよう大統領に求めており、情勢が改善していない場合は撤退の即時開始と年内完了を求める。改善していれば08年3月1日までに撤退を開始し、同年8月末までの完了を求める内容となっている。

 民主党のペロシ下院議長は「イラクからの撤退に向けた大きな一歩だ」とアピール。政権に方針転換を求めた。これに対し、ブッシュ大統領は「下院は責任を放棄した。民主党の政治ショーだ」と批判。仮に議会を通過しても拒否権を行使する方針を改めて明言した。

 投票結果は賛成218、反対212。民主党の多数が賛成し、共和党から2人が賛成にまわった。ただ、即時撤退を求める民主党左派の議員ら14人が反対にまわり、6票差の結果になった。

http://www.asahi.com/international/update/0324/001.html