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2007年03月24日(土) 12時00分

音楽専門チャンネルが意欲的に参入する新ビジネスチャンスオリコン

 ミュージック・ビデオがプロモーションだけの意味と役割を持つ時代は終わったと言われる。パッケージ商品としてだけでなく、ケータイでも気軽に作品が楽しめるようにもなってきたなか、昨年後半からはさらに、ミュージック・ビデオに可能性を見出した新たなビジネスも生まれ始めている。

 ミュージック・ビデオは、プロモーション・ビデオとも言われるとおり、数年前までは、主にアーティストがCDをリリースする際の宣伝ツールとして活用されてきた。音楽ファンも地上波のチャート番組やCS音楽専門チャンネルなどでしか、その映像作品を楽しむことができなかった( 写真はこちら )。
 しかしここ数年、CDの特典や単体のパッケージ商品としてDVD化されるほか、PCやケータイによる視聴環境が整ってきたことによって、ミュージック・ビデオのアウトプットが広がり、商品としての価値が格段に上がってきている。

 そんなミュージック・ビデオに付加価値をつけ、ビジネスに応用できないかと各社が模索しているなか、昨秋、電通ミュージック・アンド・エンタテインメントのプロデュースによって登場したのが、「ミュージック・ビデマーシャル」である。ミュージック・ビデマーシャルとは、単なるプロダクト・プレイスメントとは一線を画したかたちでアーティストのミュージック・ビデオと企業のCMをコラボレーションさせ、作品コンセプトを共有しながらお互いのブランドを高めていくという手法だ。

 その第一弾である、ソニー・エリクソンのケータイ「W43S」と女性3人のヒップホップ・グループ「YA-KYIM」のコラボレーションは、彼女たちのシングル曲のタイトルでもある「beauty×beauty」というコンセプトを共有して展開。その結果は好評を博し、業界内でも話題を呼んだ。
 続いて昨年末には、KDDIが「au×EXILE〜第二章〜」としてEXILEの新曲「Lovers Again」とコラボレーションした際にもミュージック・ビデマーシャルが採用され、これもキャンペーン、CDセールスともに大成功を収めている。

 アーティスト側にとっては、コラボする企業のチャンネルも使うことによって従来よりも遥かに多く、ミュージック・ビデオの露出の機会を得ることができる。と同時に企業としては、商品イメージやコンセプト、そして訴求ターゲットともっとも相性のいいアーティストと、単なる「タイアップ」を超えた手法で組むことにより、自社のブランディングをより効果的に高めることができるため、ミュージック・ビデマーシャルは、双方から好感触である。

 ミュージック・ビデオというアーティストにとっては重要かつ必要不可欠な作品だけに、コラボレーションの組み合わせや手法を少しでも誤れば、デメリットも生じかねない。そうならないためにも、アーティスト側と企業側がコンセプトを共有するのはもちろん、細部に至るまで労を惜しむことなくコミュニケーションを図ることが何よりも大切である。

 その点において、アーティスト/レコード会社と密接な関係を築いていると同時に、さまざまなクライアントのニーズにも精通しているCS音楽専門チャンネルが、両者のマッチングを務める「仲人」として最適であるといっても決して過言ではないだろう。いずれにしても、ミュージック・ビデマーシャルに留まらず、今後ミュージック・ビデオにまつわるビジネスユースは、さらに拡大の一途をたどるに違いない。そんななか、CS音楽専門チャンネルが新たなビジネスチャンスに向けてどのような試みを行っていくのか、注意深く見守っていきたい。

  ミュージック・ビデマーシャルの写真 など詳細はこちらへ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070323-00000024-oric-ent