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2007年03月24日(土) 00時00分

園児を憎悪 明確な殺意/長浜園児殺害事件朝日新聞

【検察側、供述調書読み上げ】

 大津地裁で23日あった長浜園児殺害事件の公判で、検察側は鄭永善被告(35)の逮捕当時の供述調書を読み上げ、殺害された園児を憎悪し、明確な殺意があったと指摘した。鄭被告は「何もしていない」と繰り返すばかりで、被告人質問は途中で打ち切られた。残るは精神鑑定と情状証人らの尋問のみ。鄭被告は事件についてほとんど何も語らないまま、10月に判決を言い渡される公算が大きくなった。

 検察側が読み上げた供述調書によると、鄭被告は「(殺害した)園児が憎かったから殺した」と動機を供述。園での長女(6)については「ぼーっとしているのは被害園児らにいじめられているせいではないかと思った」とし、「被害園児がほかの子の先頭に立っていじめていると思い、(事件の2カ月前の)05年12月には恨むようになった」と供述した。

 鄭被告はこうした悩みについて「家族に理解してもらえず、相談相手がいなかった」と説明。事件があった昨年2月17日朝に「このままでは長女が将来孤独になってしまう」と、一緒に通園する園児の殺害を決意。確実に殺害するため、一番鋭利な包丁を自宅から持ち出したという。

 検察側はこうした供述から冒頭陳述で「長女がいじめられていると邪推し、犯行に及んだ」と指摘。園児2人の遺族はいずれも「仲間はずれにしたことはなかった」と公判で証言している。

 鄭被告が証言台に立ったのは2月2日の初公判以来。しかし、検察、弁護側双方の質問に体を揺すりながら「何もしていない」と答えるのみで、質問は開廷から約20分でいったん打ち切られた。検察側の調書読み上げの後、質問が再開されたが、「話したくない」と述べ、長井秀典裁判長が「何もしていないのか」と聞くとうなずいた。次回公判は8月10日で、精神鑑定を実施した鑑定医の証人尋問がある。

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