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2007年03月24日(土) 00時00分

残留孤児徳島訴訟で高知・原告ら朝日新聞

 「東京地裁と違って、国の責務をある程度認めてくれた」——。中国残留孤児らが全国各地で起こした国家賠償訴訟で23日、原告の請求を棄却した徳島地裁判決について、同様の訴訟を高知地裁に起こしている県内に住む原告らとその支援者は、「国は孤児が自立した生活を送れるよう配慮すべき政治的責務を負っている」とした部分を評価する一方、「なぜ国の法的責務が認められないのか」と相次ぐ「敗訴」にあきらめの表情も見せた。

 高知市の県人権啓発センターに集まった県内の原告らと支援者計約40人は午前10時すぎに判決結果を知った。原告らは、孤児らの帰国実現義務や自立支援義務などについて国の責任を認めなかった1月の東京地裁判決の時ほど、落胆した雰囲気ではなかったように見えたものの、腕を組んで考え込んだり、視線を動かさないまま黙り込んだりしていた。

 この日の判決について、藤原充子・高知訴訟弁護団長は「100点満点で40点」との評価を下す一方、「今後は政治で解決しなさいという丸投げのような感じがする」と批判した。判決が国の法的責務に踏み込まなかったことについて「日本の司法制度の限界と言わざるを得ない」と話した。

 原告代表の石川千代さん(73)=高知市十津5丁目=は「東京地裁よりいい判決」と喜びつつも、「高知地裁の判決では徳島地裁より、残留孤児・婦人の現状についてもっと国に訴えて欲しい」と話した。

 高知地裁の判決言い渡しは6月15日の予定。同様の裁判ではそのほか、名古屋地裁で今月29日、広島地裁で4月25日、判決が言い渡される。

http://mytown.asahi.com/kochi/news.php?k_id=40000000703240003