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2007年03月23日(金) 20時18分

<薬害肝炎訴訟>国と企業に2億6千万円賠償命令 東京地裁毎日新聞

 出産時などに止血剤として投与された2種類の血液製剤でC型肝炎に感染したとして、患者21人(うち2人死亡)が国と製薬企業3社に約13億5000万円の賠償を求めた薬害肝炎訴訟で、東京地裁は23日、21人中13人について約2億6000万円(1人2200万〜1320万円)の支払いを命じた。永野厚郎裁判長は、2種のうち第9因子製剤(クリスマシン、PPSB—ニチヤク)を巡り「重篤な副作用の情報を医療現場に警告する義務を怠った」と初めて製造2社の賠償責任を認めた。
 5地裁に起こされた訴訟で3件目の判決。2種のもう一つのフィブリノゲン製剤については、大阪、福岡両地裁判決に続き国の過失も認め、企業と共に賠償を命じた。救済範囲は異なるが、三たび違法性を指摘された国は対応を迫られる。
 賠償命令を受けた企業は、第9因子製剤の三菱ウェルファーマ(旧ミドリ十字)と日本製薬▽フィブリノゲンの三菱と子会社ベネシス。
 判決は、肝炎感染という副作用を専門家が把握した時期以降も、現場で製剤が使われ続けたと認定。この状況を企業や国は知り得たのに「安易に使わないように添付文書などで指示・警告せず、肝炎感染を拡大させた」と賠償責任を認めた。
 責任が生じた時期は副作用の研究の進み具合などから第9因子製剤では84年1月以降としたものの、国については「製剤の再評価中だった」と免責。フィブリノゲンでは大阪地裁と同様に85年8月以降と判断した。ただ国の責任は「その後、緊急安全性情報は出した」などとして87年4月〜88年6月の期間に限った。この結果、第9製剤の感染者6人中2人、フィブリノゲンの感染者15人中11人への賠償を命じた。【高倉友彰】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070323-00000089-mai-soci