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2007年03月23日(金) 00時00分

知事選スタート 首都の未来 誰に託す朝日新聞

 「首都のリーダー」を決める都知事選が22日に告示され、14人が立候補を届け出た。3選を目指す現職の石原慎太郎候補と、いずれも新顔で元足立区長の吉田万三候補、前宮城県知事の浅野史郎候補、建築家の黒川紀章候補、発明家のドクター・中松候補=本名・中松義郎=の計5人を中心とした争いになりそうだ。

 都知事選は過去、著名な候補が乱立して激しい争いを演じることが多く、16回目の今回は、過去4番目に候補者が多い選挙になった。過去に最も候補者が多かったのは、石原氏が初当選した99年。自民、民主などの推薦候補に加え、著名人が乱立して計19人が立候補。95年よりも候補者が11人も増えたため、投票率も約7ポイント上がって57・87%となった。

 一方、前回の03年は石原氏の信任投票の色合いの濃い選挙となり、候補者は5人と最も少なくなった。この影響で、投票率も過去2番目に低い44・94%に落ち込んだ。

 都知事選は候補者が増えると投票率も前回を上回る傾向にあり、都選管は候補者が急増したことから、今回も投票率の向上を期待している。

 過去2回の選挙では新宿区で第一声を上げていた石原氏は、今回は立川市を選んだ。午後には有楽町に、さらには横浜市で神奈川県知事選候補の応援演説もした。

 一方、吉田氏の第一声は新宿駅西口。その後は港区の麻布十番商店街や品川区の戸越銀座など風情ある町並みを練り歩いた。

 浅野氏は都庁舎前での第一声の後、移転問題で揺れる築地市場を遊説。立川、新宿、渋谷といったターミナルを回り、最後は通勤帰りのサラリーマンでにぎわう新橋駅前で支持を呼びかけた。

 黒川氏も第一声に都庁前を選んだ。午後には中央区のかちどき橋からクルーザーに乗り込み水上から支援を訴え、浅草などを練り歩いた。

 渋谷駅前で第一声を上げたのが中松氏。原宿、代々木、新宿など都心部を中心に支持を呼びかけた。

◆吉田万三候補 大型開発に税金やめる◆

 2期8年の石原都政は、暮らしや障害者の予算まで削って大型の都市再開発に金をつぎ込み、今度は五輪と言い出した。しかし、五輪の名前で大型開発に金をつぎ込むのが本当の狙いだと明らかになった。そろそろ、こんな税金の使い方を変えなければいけない。

 この都知事選は日本の将来やアジア、世界の平和にも大きな影響を与える。憲法改悪の旗振り役である石原さんに退陣してもらい、改憲の動きにストップをかけよう。

 都政には三つの転換が必要だ。私物化をやめる。大型開発優先の税金の使い方にメスを入れる。憲法をしっかり守っていく。これらが本物の改革への鍵だ。安心して暮らせ、世界やアジアに相互理解と平和のメッセージを発信する都市を作るため、全力でがんばる。(新宿駅西口で)

◆石原慎太郎候補 都の枠超え安心安全を◆

 都民の意識調査では圧倒的に「もっと安心、安全に暮らしたい」を望んでいる。我々はこれまで無かった災害時に隣県が助け合うネットワークを共同で作った。

 国がやらない排ガス規制も手を携えてやり、東京の空気もだいぶきれいになった。みなさんの安心安全いろんな問題があり、都だけではできない。首都圏行政のネットワークがあって初めてできる。

 都庁の職員を2万人整理し、何とか財政は再建した。お金がなきゃ何もできない。所得の低い人には医療費補助を小学校入学までから中学卒業までにする。

 国と正面切ってけんかできるのは国会議員の経験がある我々だ。今までに無かった行政をやる。私は思わぬ苦戦をしてますが、東京の再起動のために頑張る。(有楽町で)

◆浅野史郎候補 地域のぬくもり 福祉で◆

 言動も政治姿勢も傲慢(ごう・まん)そのものの石原知事に率いられた8年で、失われたものはあまりに大きい。それを取り戻すために立ち上がった。

 生活では格差が広がり、高齢化社会が近づいてきている。国威発揚のためのオリンピックが、いま必要だろうか。

 私の「本籍地」は福祉。すぐやる。地域でぬくもりを感じながら生きていける東京を
作ろう。

 情報公開は、世の中の常識だ。東京は最下位あたりをうろうろしている。側近政治といわれる石原都政。そんなことをまだ4年続けるのか。

 1カ月前には「どうせ石原都政が続く」というあきらめがあった。政治は、一人一人の力と思いで変えていくことができる。みんながこの知事選に参加すれば、必ずや、東京だけでなく、日本の政治が変わる。(新宿・都庁前で)

◆黒川紀章候補 水と緑と人情の街守る◆

 既成の政党選挙を持ち込むべきじゃない。政党は堂々と議会で議論したらいい。だが、自民と民主は参院選のため、票を押さえたい事情がある。本当に政党で知事を選んでいいのか。知事は都民のための存在だ。

 50年間、世界中の都市計画を研究してきた経験から思うのは、水と緑と人情のある東京の街を、五輪を口実にめちゃくちゃにすべきじゃないということだ。

 築地市場が狭いから移転すると石原知事は言うが、2階建てにすれば今の場所で近代化と伝統の保存ができる。

 23歳の時、数寄屋橋にあった運河の埋め立てに1人で反対した。私の声は届かなかったが、知事になったら運河を再現し、暮らしやすく美しい東京の街を作りたい。運河を船で回りつつ、多くの人と対話していく。(数寄屋橋で)

◆ドクター・中松候補 しがらみ無縁 透明政治◆

 都知事にはどういう人がなるべきかという五つのチェックポイントでほかの候補を採点すると、及第点の人が誰もいない。

 私は一昨年にイグ・ノーベル賞を受賞していて世界から注目されている。政党の支持を受けておらず、財界などのしがらみも全くないので超透明の政治ができる。小学校から東大まで無遅刻無欠席で通うほど勤勉であり、都知事になれば都民のため一生懸命に仕事をする。

 オリンピックは、今までの肉体的オリンピック以外に、人間の頭の中の才能オリンピックをすべきだ。初開催ならば誘致費用はかからず、既存の施設を活用でき、経済効果もある。年金、老人問題など他の候補が言っていないような提案をマニフェストに入れているので、ぜひ見てほしい。(渋谷で)

http://mytown.asahi.com/tokyo/news.php?k_id=13000000703230001