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2007年03月23日(金) 00時00分

不二越訴訟が結審朝日新聞

「第2次」提訴4年 判決は9月19日

 太平洋戦争中に日本に強制連行され賃金未払いのまま働かされたとして元女子挺身(てい・しん)隊員ら韓国人22人が国と雇用先だった不二越(本社・富山市)を相手取り、未払い賃金の支払いと慰謝料計1億円余りや謝罪などを求めた第2次不二越訴訟の口頭弁論が22日、富山地裁(佐藤真弘裁判長)であり、03年4月1日の提訴から約4年を経て結審した。判決は9月19日。

 裁判で、原告側は本人尋問などを通して強制連行・労働の実態や被害の深刻さなどを訴えたほか、国際法の観点から重大な人権侵害については時効はないなどと主張してきた。

 これに対し、国側は事実関係については言及せず、国家賠償法がなかった時期の行為については個人の損害に対して国の賠償責任がないとする「国家無答責の原則」などを理由に、原告の訴えには法的根拠がないと主張。また、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」を過ぎていることなどから棄却を求めている。

 この日、原告の李福実さん(75)は「23人が選出され裁判をしてきたが3人が死亡しました。12、13歳の子どもが遠い異国に連れて来られ働き続けさせられた。60年たっても記憶がよみがえって私たちを苦しめる。正義に匹敵する判決を」と意見陳述で述べた。

 結審後に開かれた記者会見で、李さんは「年老いた私たちに裁判を引きずらせることなく良い条件で和解してほしいと不二越、日本国に訴えたい。結果が良いものでなければ、私たちは1人2人欠けていこうとも、身が半分になろうとも最後までやる覚悟です」と話した。

 判決が約半年後になることについて、原告側の島田広弁護士は「法律論だけで切って捨てるなら(判決文が)すぐ書けるだろう。裁判所はきちんとした事実認定をしたいと考えているのではないか」と述べた。

http://mytown.asahi.com/toyama/news.php?k_id=17000000703230003