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2007年03月23日(金) 00時00分

知的障害施設で暴行 元施設長らを提訴朝日新聞

 広島市安芸区の知的障害者更生施設「あとの郷」で元施設長から暴言や暴行を受けたとして、同市在住の男性(38)が22日、施設を運営する社会福祉法人「無漏福祉会」と元施設長、広島市を相手に計1100万円の損害賠償を求める訴えを広島地裁に起こした。元施設長は06年7月に傷害罪で略式起訴され、広島簡裁から罰金30万円の略式命令を受けている。施設側は「弁護士に一任しているので答えられない」とコメントしている。(江戸川夏樹、福田隆弥)

 訴状などによると、男性は重度の知的障害があり、02年8月に完全宿泊型の同施設に入所。03年4月に他の入所者に本を返さずにトラブルになった際に、現職だった元施設長から顔を壁に打ち付けられたり、背中を踏みつけられたりした。同3月には、薬の服用を嫌がったとして顔を殴りつけるなどの暴力を何度も受け、顔面打撲などのけがをしても病院で治療を受けさせてもらえなかった。同5月に退所した後は歩行や会話ができない状態だったとしている。

 また、暴力を受けた当時は、措置制度に基づいて市が入所先を決めたことから、市にも責任があると主張している。

 市は同年5、6月に施設の立ち入り調査をしたが、「虐待は確認できなかった」としていた。だが、男性側は05年11月に、03年4月の暴行について傷害容疑で元施設長を広島地検に告訴。元施設長は略式命令を受け、現在はやめている。

 記者会見した男性の両親は「大きなあざがありショックを受けた。二度とこのようなことが起きないようにしてもらいたい」と話した。

 市障害福祉課は「事実関係を確認してから対応する」としている。

http://mytown.asahi.com/hiroshima/news.php?k_id=35000000703230001