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2007年03月23日(金) 00時00分

知事選スタート朝日新聞

 県政のかじ取り役を選ぶ選挙が始まった。22日告示された県知事選は、元民主党県連副代表の稲富修二(36)=民主、社民推薦=、元高校教諭の平野栄一(64)=共産推薦=、4選を目指す麻生渡(67)=県農政連推薦=の無所属3氏の争いになった。民主が独自候補の稲富氏を擁立し、12年ぶりに現職の多党相乗りが崩れた。2月の公選法改正で首長選でもマニフェスト(政策公約)が配れるようになり、有権者の判断材料が増えた。選挙戦は17日間。4月8日に投開票される。

 稲富氏は午前10時から、05年の衆院選で立候補した福岡11区の田川市川宮で出発式を開いた。

 民主党の鳩山由紀夫幹事長や社民党県議、労組関係者ら約300人を前に「多選の知事では県職員も知事の方を見て仕事せざるを得なくなり、県も知事も県民の視点や生活を忘れてしまう」と世代交代を訴えた。

 稲富氏は36歳という若さと、県内の全市町村を訪ねて各地の課題を調べたフットワークの軽さも強調。格差社会が県内でも広がりつつあるとした上で行財政改革の重要性を訴え、知事の退職金の廃止と知事公舎の売却、知事の公用車の見直しを約束した。

 応援のマイクを握った鳩山幹事長は、全国で多選知事の汚職事件が相次いだ一方、宮崎県では東国原英夫知事が誕生して県民が期待感を持てるようになったとし、「これ以上現職が続けて、果たして正しい県政にこれからもなっていくのかどうか、非常に不安を感じる」と多選を批判した。

 平野氏は、午前9時半から福岡市博多区の事務所で出陣式を開き、約30人の支持者を前に第一声を上げた。「教育条件の整備に力を入れるなかで、安心して過ごせる福岡県をつくっていく。その仕事をさせていただきたい」と、意気込みを語った。

 その後、同市中央区の繁華街・天神に移動して演説。「税金をどのように集めて、どのように使うか。それが政治」と声を張り上げた。県の借金はダムなどの巨大開発が原因と断じた上で、「税金の無駄遣いを改めれば、福祉や教育を中心にした県政にすることができる」と主張。さらに「いじめは子どもに限ったことではない。弱い者いじめの政治、大人社会の反映だ」と指摘し、「庶民いじめの国の政治のもとで、県民を守る立場に立ち、国にきっぱりとものを言う知事が必要」と述べた。

 JR博多駅前で夕方にあった演説会には、共産党の市田忠義書記局長が応援に訪れた。

 麻生氏は午前10時から福岡市中央区の警固神社で開かれた出陣式に臨んだ。約2500人の支持者を前に「党派を超えて県民のみなさんに幅広く支援して頂きたい」と訴えた。政策面では雇用や格差対策を強調。「新しく職業訓練をし人生に自信のもてる職業を用意していきたい。同時に最低賃金を上げ、公正な社会を目指す」と語った。

 「県民党」を強調する麻生氏の意向を受け、政治家ではなく、介護福祉士やエッセイストら7人がリレートークで激励した。野球評論家の稲尾和久さん(69)は、民主党推薦の候補に敗れた福岡、北九州両市長選を挙げ、「選手時代に3連敗4連勝の日本シリーズを経験した。悪い流れを止めるには相当なパワーがいる」と支援を求めた。

 一方、会場では、出番のない自民党国会議員らが最前列で出陣式を見守った。古賀誠・元幹事長は「(これまでと)まったく同じように、後援会は(麻生氏を)応援すると思う」と話した。

http://mytown.asahi.com/fukuoka/news.php?k_id=41000000703230001