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2007年03月23日(金) 22時52分

井関農機、利益40億円水増し 4年ぶり無配当に朝日新聞

 農機大手の井関農機は23日、製造子会社3社が不正な会計処理で利益を水増ししていたと発表した。不正は03年3月期決算以降に発生、水増し額は計約40億円にのぼるとみられる。井関は関係者を更迭し、07年3月期の業績予想を下方修正、4年ぶりに期末配当を無配とすることを決めた。

 不正が発覚したのは、いずれも完全子会社の井関熊本製造所(熊本県益城町)、井関松山製造所、井関邦栄製造所(ともに松山市)。3社は本来は製造原価として計上すべき金額を、製造途中の資産である「仕掛かり品」として計上。利益を水増ししていた。

 今月5日、熊本製造所が07年3月期の業績が大幅な赤字になると報告。これを受け、井関が熊本を含む四つの製造所を調査したところ、井関新潟製造所を除く3社で同様の不正が発覚した。井関は3社の社長と担当部長ら8人を更迭。今後1年間、役員給与を30%カットする。

 この日会見した井関の中野弘之社長は「株主や関係者に多大なご迷惑をおかけした」と謝罪。これまでの調査で関係者は「目標達成のプレッシャーを感じていた」と話しているという。井関は弁護士ら社外の人材を入れた外部委員会を近く立ち上げ、原因を究明する。

 井関が同日修正した07年3月期の連結業績見通しは、営業利益が2月9日発表時より17億円減の38億円、経常利益は同18億円減の32億円、当期利益は同14億円減の11億円。水増し額を調査したうえで、再度修正する可能性もある。

http://www.asahi.com/business/update/0323/151.html