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2007年03月23日(金) 18時44分

拉致被害者家族会代表の横田さん、年内退任の意向を発表朝日新聞

 北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)の横田滋代表(74)は23日、家族会が結成されて10年になるのをきっかけに川崎市内で記者会見し、年内にも代表を退任する意向を明らかにした。4月22日の家族会総会で、その日か、75歳の誕生日(11月14日)の退任を提案する予定。家族会メンバーとしての活動は続ける。

拉致家族会結成から10年、記者会見で思いを語る横田滋さん、早紀江さん=23日午後、川崎市で

 家族会は97年3月25日結成され、翌26日に初の記者会見があった。滋さんの退任の意向は「体力的に無理が利かなくなった」のが理由という。

 滋さんは05年暮れから血液の難病で1カ月半入院。退院後も多忙な日が続いた。妻早紀江さん(71)は、10年前の家族会結成時と同じ緑のチェックの上着姿で「洋服は元気なままですが、着ている人間は過酷な日々で疲れがたまっている。主人も体調が戻っていません」と話した。

 この10年について滋さんは「当初は拉致を信じてもらえなかったが、小泉首相訪朝で被害者5人が帰り、安倍内閣で拉致問題が国政の最重要課題になった。だが5年前『死亡』とされた被害者の状況は進展しておらず、早く結果がほしい」と語った。

 同席した増元照明・家族会事務局長(51)は、10年前の家族会の発足記者会見で父・正一さんが掲げていた姉・るみ子さんの顔写真を持ってきた。「父は5年前、亡くなった。解決に時間がかかりすぎている。拉致被害者が帰っても親がいないのでは喜びも半減する。北朝鮮が誠実に対応し今年中に解決するよう、政府が圧力をかけてほしい」と訴えた。

http://www.asahi.com/national/update/0323/TKY200703230305.html