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2007年03月23日(金) 11時12分

制御棒脱落、報告義務づけへ 経産相が省令改正を表明朝日新聞

 国内の沸騰水型原発で原子炉の制御棒が意図せずに相次いで脱落した問題で、甘利経産相は23日、閣議後の記者会見で、想定外に制御棒が抜け落ちた場合には国へ報告するよう原子炉等規制法の省令を改正することを明らかにした。国民の意見を聴いたうえで、早ければ5月にも改正する。

 報告対象になるのは、原子炉停止中、制御棒の駆動操作をしていないのに1本以上が勝手に動いた場合。脱落だけでなく、上昇した場合も対象とする。これまでは、原子炉が止まっている際に制御棒が動いても、臨界状態にならなければ報告義務がなかった。

 同省では30日までに、各電力会社に過去の事故やトラブルを報告するよう指示。その報告を待って、対策をとることを検討していた。しかし、原子炉の安全の根幹にかかわる問題として、前倒しで省令改正を決めた。

 これまで報告義務は、故障による原子炉緊急停止や、放射性物質が外部に漏れた場合などが対象。これに制御棒脱落を加えるという。報告しない場合は、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科される。

 全国の沸騰水型原発8基で78年から00年にかけて制御棒が相次いで脱落。臨界事故に至らなかったケースでは「報告義務がない」と判断された結果、情報が共有されずトラブルが繰り返された。

http://www.asahi.com/national/update/0323/TKY200703230111.html