法案は、現行法では14歳以上に限られている少年院送致の年齢の下限を撤廃し、家裁が必要と認めれば少年院に送致できるようにする。保護観察中の少年が順守事項を守らない場合に少年院に送ることも可能にする。
刑事責任を問えない14歳未満で違法行為をした「触法少年」や、将来罪を犯すおそれのある「虞犯(ぐ・はん)少年」の事件について、警察が質問などの調査をできる権限を持つことを明確にする。触法少年の事件については、押収・捜索などの強制処分ができる権限を警察官に与える。
現行法では、14歳未満の少年が法に触れる行為をしても、補導して任意に事情聴取することしかできず、被害者らから「事件解明に不十分だ」との批判があった。長崎市で03年に起きた中1男子による幼児殺害事件や、長崎県佐世保市で04年に起きた小6女児の同級生殺害事件など、14歳未満の少年による事件が相次いだことが、今回の改正の背景にある。
日弁連は「今回の法案は、事件を起こした子供を『育て直す』機能を大きく低下させる」と反対する。民主党は、少年に警察が質問する時に弁護士らを立ち会わせることや、児童相談所の体制整備などを求める修正案を協議中だ。