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2007年03月19日(月) 15時32分

1,000W超を争う電源分野に2,000W製品が登場impress Watch

●TOPOWERが展示した2,000Wの外付け電源

 2006年あたりから1,000W級の電源ユニットが増え始めた。このCeBIT会場でも電源ユニットを展示するメーカーの多くが1,000W電源を展示しているが、マーケティング的なアピール効果の面では1,000Wをどれだけ超えられるかに焦点が移っているようだ。

 そのような状況のなか「2,000Wの外付け電源」というインパクトある製品を展示したのがTOPOWERだ。2,000Wという響きはすごいがフェイク気味の製品で、1,000W電源のユニット2個を外付けケース内に収納し、コンバイン動作させている。そのため、ACケーブルも2系統を入力しなければならず、メイン電源スイッチも2つ用意されているほど。

 ただ、マザーボードやデバイスへ接続するケーブルは集約され、分配ユニットもATXサイズで作られているので、電源ユニット2つをコンバインさせるよりも使い勝手はよさそうだ。なお、本製品はプロトタイプで、製品化のスケジュールは未定。6月のCOMPUTEX TAIPEIではもう少し具体的な話ができるはずとした。

 一般的なATX電源に目を向けると、Thermaltakeが展示を行なった1,500Wの電源ユニットが最大容量。こちらも発売日や価格は未定で、3カ月後の商品化を目指しているという。そのほか、1,000Wを超える電源ユニットをまとめて紹介しておきたい。

●SilverStoneが450Wのファンレス電源を展示

 SilverStoneが500Wのファンレス電源「ST50NF」を展示した。ファンレスとファン使用時で最大容量を制限する、いわゆる準ファンレス電源ならばファン使用時に500W以上の出力を発揮できるものもあるが、ファンレス動作時において最大出力を出せる完全ファンレス電源としては、おそらく最大容量になると思われる。もっとも、この500Wは200V以上の電圧で利用した場合のみで、日本で一般的な100Vでの使用時は最大450Wの出力になる。それでも、完全ファンレス電源としては国内で最大容量だろう。

 この製品の実現にあたっては、製品の基板やコンデンサを見直し、電源効率の向上を徹底することで発熱を抑制したという。その結果、ヒートパイプなどを利用せずに安定して冷却できるとしている。実際、ファンレス電源には背面部からヒートシンクがはみ出す製品も珍しくないが、本製品ははみ出す部分は一切なく、ATX電源としてもそれほど大きなサイズになっていないのが印象的だ。

 発売は2カ月後が発売されており、日本での発売も予定されているという。価格は現時点で未定。

●ビデオカード用の5インチ電源は450Wが登場

 増加の一途をたどるGPUの消費電力だが、それに対応するために5インチベイに装着できるビデオカード用の補助電源が2006年ごろより発売されている。この手の製品が初めて登場したときは250Wの容量であったが、CrossFireやSLIを構築するにはやや力不足である感は否めない。まして、200W近い消費電力を持つGeForce 8800 GTXを利用するとなれば、1枚を動作させられるかどうかも怪しい。

 しかし、今回のCeBITではThermaltakeとFSPが450Wの5インチベイ搭載型電源を展示。GeForce 8800 GTXのSLIなどはさすが難しそうだが、ほとんどのビデオカードは対応できそうな製品である。

●ZalmanがReseratorの新製品を展示

 大型の外付けラジエータを利用した水冷キットとしておなじみの「Reserator」。Zalman Techのブースでは、この新モデルとなる「Reserator XT」が展示された。発売は4月が予定されており、価格は400ドル前後が見込まれている。

 外付けラジエータボックスが210×350×180mmのサイズと、同シリーズとしてはシンプルな作り。また、同シリーズでは初めて、140mm角/25mm厚のファンを搭載したのが大きな特徴だ。ファンは背面に設置されており、両側面部にあるラジエータを冷却する。ラジエータボックス内にはタンクとポンプも収納されており、タンクの容積は1L(リットル)。ポンプの吐水能力は最大で1時間当たり360Lとなっている。

 ラジエータの前面にはオーディオ風デザインの各種メーターを装備。水温やラジエータ温度、ファン回転速度や水量を視認することができる。また、メーターの下には、大型のボリュームつまみを装備。この“ボリューム”とはノイズレベルのことだが、ファン回転数と水流の両方を調節してノイズレベルを調節できるという。また、この調整は自動化することもできる。

 このほか、水の流れが停滞したときや、タンク内の水量が低下したときのアラーム機能も装備。さらに、インジケータ類の誤動作などに備えてリセットスイッチを備えているのも、この手の製品にしては珍しい。

●TDP400WのCPUも冷やせるというカーボンナノチューブ採用のCPUクーラー

 OCZ Technologyが展示を行なった「WAYCOOL」は、“TDPが400WのCPUを冷やせる”という極端な例を持ち出すほど、高い冷却性能をアピールする製品だ。特徴はCPUとの接触面にカーボンナノチューブを利用している点。金属素材としては熱伝導率が高いことから一般的には銅が使われる部位だが、カーボンナノチューブはそうした金属素材を上回る熱伝導率を持っている。

 そして放熱させるためのフィンには銅を採用。さらには、ヒートシンクのCPU接触面に近い部分にポンプを内蔵しており、ヒートシンク中央部で水を循環させている。もちろん同社でも価格は相当高価になると想定しているが、今回展示したものは最初のプロトタイプであり、製品化の時期も含めて未定とのこと。

 カーボンナノチューブはともかく、CPUクーラーの内部に水冷の仕組みを盛り込む製品は従来から存在しており、同じアプローチの製品が散見される。日本ではファストから発売されたXIGMATEK製CPUクーラーも展示が行なわれていたが、同社はさらに同様の仕組みを盛り込んだVGAクーラー「PI-UN7」を展示しており、この技術の広がりを感じさせる。

 このほかにもCeBIT会場内には多種多様な冷却関連製品が展示されている。ここで印象的なものを一斉に紹介しておきたい。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070319-00000010-imp-sci