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2007年03月12日(月) 00時00分

マニフェスト解禁朝日新聞

 ◎まち くらし 選ぶ 07統一地方選◎

 ■戸惑い 過疎候補者■「バラ色の書けない」

 ■乗り気 知事選両陣営■「政策アピールできる」

 国政選挙で認められているマニフェスト(政権公約)のビラ配布が、今回の統一地方選から知事選と市町村長選でも解禁となる。知事選に立候補予定の2候補とも、公約集のダイジェスト版と位置づけ、上限いっぱい印刷して政策をPRする方針だ。選挙カーで名前を連呼する従来型の選挙から脱却できるか。

 地方選挙での「運動用文書図画」は、はがきに限られていたが、公職選挙法の改正で今回から最大A4サイズの1枚ビラを配れるようになった。

 奈良県知事選の場合、法定枚数は14万5千枚。県は、候補者1人当たり最大約82万円の印刷代を公費で負担するための条例改正案を県議会2月定例会に提出した。

 知事選に立候補表明している元参院議員の荒井正吾氏(62)=9日辞職、自民推薦=と、生駒市議の西ふみ子氏(71)=共産推薦=の両陣営は解禁を歓迎し、マニフェストを盛り込んだビラの作成を始めている。

 荒井陣営は、先月17日に「奈良『新・都(みやこ)』構想」と題した公約集を発表。今後4年間に企業誘致100件、県内雇用4万人増などの数値目標を示した。陣営の一人は「有権者に訴える手段が増えたのはありがたいが、17ページの公約集をすべて網羅できない。どの部分を盛り込めばいいのか」と悩む。

 「これまで地方選で制限してきたことが問題」と語るのは西陣営の選挙対策責任者。平城遷都1300年記念事業の中止などを訴えた公約集「三つの安心、二つの改革」を中心にビラに盛り込む。具体的な政策には数値目標や財源、実行期限を示すといい、新聞折り込みで配る予定だ。

 また、一般市長選は1万6千枚、町村長選は5千枚の上限がついた。統一地方選では、大和高田、五條、河合、曽爾、下北山の5市町村の首長選がある見通しだが、過疎自治体の候補者の反応は複雑だ。

 ある村長選の立候補予定者はマニフェストは作るものの、「財政が厳しいので、あれもこれもとバラ色の夢は書けない。住民が希望する事業を優先して並べざるを得ない」と語る。

 無投票となる公算が大きい過疎地の選管職員の一人は言う。「都市部ならともかく、人口の少ない田舎でビラを配る意味があるのか。自治体が負担するビラに張る証紙の費用も、無投票当選になれば無駄になる」

http://mytown.asahi.com/nara/news.php?k_id=30000000703120002