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2007年03月11日(日) 00時00分

徳島収容所時代の曲披露読売新聞

21日に市内の合唱団

「トクシマ・アンツァイガー」の翻訳版に目を通し、徳島オーケストラの活動に思いをはせる佐藤義忠さん(徳島市富田橋の自宅で)
 第1次世界大戦中のドイツ人捕虜収容所「板東俘虜(ふりょ)収容所」(鳴門市大麻町)にあった楽団「徳島オーケストラ」の演奏活動などをしのぶ「エンゲル・松江記念市民コンサート」が今年も、21日午後1時半から徳島市の市立徳島城博物館・庭園で開かれる。8回目の今回は初めて、板東収容所の前身で、現在の徳島市万代町にあった「徳島俘虜収容所」時代に演奏されたヨハン・シュトラウスの「美しく青きドナウ」など3曲が披露される。

 徳島市内の音楽愛好家らでつくる「エンゲルオーケストラ・合唱団」が演奏する。プロのバイオリン奏者で、板東収容所の捕虜だったパウル・エンゲルから付けた名で、エンゲルは、松江豊寿所長の理解を得て、徳島市内に出張して若者らに演奏を指導するなどしていた。

 徳島収容所があったのは1914年から17年にかけて。当時、所内で発行されていた新聞「トクシマ・アンツァイガー」の一部が2005年に翻訳されたことで、徳島オーケストラが徳島収容所時代にも50回の演奏会を開くなど活発に活動していたことがわかった。

 この翻訳は昨年3月、冊子にまとめられ、エンゲルオーケストラ・合唱団の代表を務める佐藤義忠さん(72)が徳島収容所時代の活躍をたたえようと企画が決まった。徳島収容所時代に演奏され、今回披露されるのは、ほかに「ラデッキー行進曲」(ヨハン・シュトラウス)など。全体では13曲を演奏する。

 メンバーは今、熱心に練習中で、佐藤さんは「徳島オーケストラの活動によって、ドイツ文化が徳島に広がっていった。丁寧に再現したい」と話している。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokushima/news001.htm