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2007年03月07日(水) 00時00分

平成電電 競争激化詐欺の引き金? 東京新聞

 通信事業「平成電電」の詐欺事件で、同社元社長佐藤賢治容疑者(55)、平成電電設備などの元社長熊本徳夫容疑者(54)らは、通信大手が同社と同じような格安サービスを始めた時期に投資家から集めた資金を会社運転資金や配当に充てるようになっていたことが六日、分かった。警視庁捜査二課などは、競争激化で事業が行き詰まり、虚偽説明での資金集めに走った可能性があるとみて調べている。

 平成電電は二〇〇一年にNTTの既存回線を利用した固定電話事業「マイライン」に参加。〇三年からは利用者が直接加入する低額固定電話サービス「CHOKKA(チョッカ)」に乗り出した。自前の光ファイバー網とNTTの空き回線を使用し、全国一律三分間六・八円の低料金を打ち出した。

 ところが、〇四年末に日本テレコムが「おとくライン」、〇五年二月にKDDIが「メタルプラス」と名付けた同様サービスを相次いで開始。対抗してNTTも料金値下げに踏み切った。このため、当初から伸び悩んでいた顧客獲得が一層厳しくなり、事業が行き詰まった。

 平成電電は百万回線獲得を狙ったが、最終的には十五万回線にとどまり、破たんした。

 警視庁の調べでは、佐藤、熊本両容疑者らは〇四年十月から、資金を集めていた匿名組合の利率を8%から10%に引き上げて投資意欲をかき立て、一組合当たりの募集枠も五倍に広げるなど、投資家獲得に奔走。

 競争が激化した〇五年一月以降に一万三千人から集められた約三百億円は、本来購入される通信設備費に回されることもなく、平成電電の資金繰りや他の投資家への配当に回されるなど、「優良事業」を装う資金に充てられたという。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070307/mng_____sya_____007.shtml