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2007年03月03日(土) 00時00分

課長、管理者選定で不正 評価点改ざん朝日新聞

  災害時の避難場所を示す標識の管理業者を選ぶ際に、横浜市の担当課長が特定の事業者に委ねるために、選定時の評価点を改ざんしていたことがわかった。市は「事業者から金品の授受はなかった」と説明している。中田宏市長が推し進めている広告利用の方針を受け、標識につける広告収入で標識の設置と維持管理費を賄う仕組みにしていたが、市は「方法に無理があったかもしれない」として、仕組みを見直す方針だ。

(太田泉生)

  市の安全管理局と行政運営調整局が2日、発表した。改ざんしていたのは、総務局危機管理対策室(現安全管理局危機管理室)情報・技術課の男性課長(50)。改ざん行為が刑法に触れる可能性もあるとして、県警に届けたことを明らかにした。市は「捜査状況を踏まえ、関係者を厳正に処分する」としている。

  男性課長は06年2月、公募に応じた5団体について、7人の評価委員(市職員)が提出した評価点の集計を改ざんした。1位だったNPOを2位にし、2位だったNPOを1位にして事業を実施させた。

  市が設置している災害時避難場所を示す標識や掲示板に広告を設け、設置から維持管理まで業者に委ねる事業。業者は広告収入で費用を賄い、市からは設置や維持管理のための費用は支払われない。経費削減策として、神奈川区役所と危機管理対策室が、05年度に実験的に始めた。

  評価点の合計が当初1位だったNPOが、市のほかの広告活用事業で、広告の獲得に苦戦したという。このため、男性課長は「事業の成功のためには広告獲得が重要。広告獲得に熱意のあるNPOに任せたい」と数値を改ざんしたという。

  ただ、結局このNPOも広告獲得に苦戦し、標識設置を1件もできないまま、今年1月に辞退した。選定が適切だったかについて市が調査し、今回の課長の不正が明らかになったという。

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000703030004