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2007年03月02日(金) 00時00分

首長交際費 減額じわり朝日新聞

 23区と26市の首長交際費について朝日新聞が調べたところ、06年度の予算総額は計1億4155万円で、前年度に比べ8%減っていた。「公益上必要がある場合においては、寄付または補助をすることができる」などとした地方自治法に基づく支出だが、その金額や内容、支出先の公開方法は自治体によってまちまちだ。

 首長交際費は、都内の市区では減額ばやりだ。

05年度と06年度の予算額でみると、武蔵野市が550万円から100万円と大幅減。05年秋に初当選した邑上守正市長は交際費削減を公約に掲げていた。同年春に小林正則市長が就任した小平市でも、240万円から190万円に削減した。

 世田谷区では05年度予算が1千万円だったが、実際に使ったのは約276万円。執行率の低さもあり、06年度予算は700万円に減額。港区も05年度予算の執行率が4割弱で、05、06年度と2年連続で予算を50万円ずつ減額している。

 減額が相次いでいる背景には、交際費をめぐる判決の影響がある。

 大阪高裁は02年12月、奈良県西吉野村(現・五條市)の交際費をめぐる住民訴訟で、政治家の出版祝いや当選祝い▽(政治資金)パーティー▽政党の定期大会や新春年賀会などへの支出について、「行政の政治的中立性の要請に反する」と違法判決を下している。

 これを受け、町田市の寺田和雄市長(当時)が高裁判決に該当する計11万円の支出を、三鷹市の清原慶子市長が計23万4千円の支出を不適切として返還している。

 また、最高裁は昨年12月、武蔵野市の土屋正忠市長(当時)の交際費をめぐる住民訴訟の上告を棄却。交際費から市の部課長会の懇親会などへ支出した計5万円の返還を命じる高裁判決が確定している。

 交際費の支出先の公開は、市部と区部で大きな違いがある。

 26市は自治体のホームページ(HP)で閲覧できるが、23区では、1日に始めた世田谷区を含め11区にとどまる。新宿や渋谷、江東、荒川、足立区はHPでその支出内容を公開しているが、支出先とその金額まではわからない。残る12区は情報公開請求以外に知るすべはない。

 国立市ではHPに掲載するだけでなく、公民館や図書館など市の施設で閲覧できるようファイルを置いている。「交際費は首長が恣意(しい)的に使えるもの。法に明確な規定がないため、常に基準を見直し続けようと広く閲覧できるようにしている」(同市)という。

http://mytown.asahi.com/tokyo/news.php?k_id=13000000703020001