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2007年03月02日(金) 00時00分

建設業界「共存共栄」に変化 格差を問う6朝日新聞

 イオン盛岡南ショッピングセンター(SC)の開業で活気づく盛岡市の盛南地区。商業施設だけでなく、人口増を見越したマンション建設も相次ぐ。盛岡市中心部では、同地区のほかにも、駅前でのホテル、マンションなどの建設が目立つ。

 県建設業協会によると、県内の建設投資額は96年度の1兆779億円をピークに減り続けている。05年度は半減近い5825億円。内訳は、公共事業が3067億円、民間工事が2757億円だった。

 公共事業の減少傾向が止まらない一方、民間工事は、01年度以降は2700億〜3千億円程度で推移している。

 盛岡市内のある建設業者は「市内では古いアパートをマンションに建て替える例も多い。2年前を底に、民間工事は増え始めている」という。

 ただ、県内の住宅着工の4割は盛岡市で、その他も北上市や奥州市など内陸部に多い。

 県北部の建設業者は言う。「こっちには民間工事なんかない。9割近くが公共事業だ」

 この業者の売り上げは、公共事業の減少と比例した。95年と比較すると「ほぼ半減」。仕事は減っても、社員は養わなければならない。つてを頼って県外の工事現場に社員を派遣し、その請負費用で「何とか給料を払っている」という。

 増田知事は3期12年の任期前半に公共事業を集中させ、その後は財政再建路線のなか、公共事業削減を続けた。

 県の試算では、2010年度の県内の建設投資額は5千億円と、05年度からさらに800億円以上減る。

 県内の建設業の足元を揺らすのは、公共事業の減少だけではない。05年に主要業者91社が、談合の疑いで公正取引委員会に排除勧告された影響を指摘する声もある。

 ある業者は「公共工事の入札でも価格競争が激しくなった。場合によっては利益が出ないこともある」と言う。

 談合が認定された場合、県発注工事の1年間の指名停止措置が出される。増田知事は「ルール通りに対応する」と言明している。今年2月には、他県で相次いだ官製談合を受け、県発注公共工事への一般競争入札の全面導入を表明した。

 1日の県議会総務委員会では、入札改革が取り上げられ、議員からは地域の建設業者の保護の必要性を求める声が出た。これに対し、相沢徹総合政策室長は「業界は厳しく、雇用にも反映するので、我々は危機感を持っている。多角化に取り組んでもらいたいが、一朝一夕にはいかないので、追加の支援を考えたい」と応じた。

 入札の透明性は高まる一方で、企業間競争はさらに激しくなる。「利益が出なくても工事を引き受け、赤字が拡大する悪循環に陥っている業者もいる」(盛岡市内の建設業者)。

 ある業者は「どこも自分の会社が苦しく、他の会社がつぶれるのを待っているような感じもある」という。「共存共栄」が当たり前だった業界内の空気が変わり始めている。

http://mytown.asahi.com/iwate/news.php?k_id=03000000703020001