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2007年03月01日(木) 00時00分

政党推薦受けぬ信条朝日新聞

 告示まで約3週間となった知事選は28日、「無党派」争奪が前面に出る様相となった。3選をめざす石原慎太郎知事が自民党の推薦を断ったのに加え、この日立候補の意向を明らかにした前宮城県知事の浅野史郎氏も、宮城の知事時代は2期目から政党推薦を受けないことを信条としてきた。

 浅野氏は旧厚生省課長などを経て93年、当時の宮城県知事がゼネコン汚職で逮捕されたことを受けた出直し知事選に、新生党や日本新党などの推薦で当選。3期務めた。2回目の選挙からは政党推薦を受けなかった。自民党県連などが申し入れたのに断った。

 その理由について浅野氏は昨年出した著書の中で、「選挙は特定の人や団体だけがするものという思い込み」を排したかったと説明。選挙を政党が取り仕切ると、「県民の入り込む隙(すき)はなくなる」として、広く政治参加を促したい考えを強調している。

 浅野氏は、こうした考えにいまも変わりはないとみられている。

 朝日新聞社が2月2、3の両日、都内の有権者に電話で実施した世論調査で支持政党をたずねたところ、「支持政党なし」と「答えない・わからない」が合わせて57%を占めた。

 知事選にはほかに共産党が推薦する元足立区長の吉田万三氏や建築家の黒川紀章氏らが立候補を表明している。無党派層がどう動くかはまだ見定めにくいが、候補者側が意識せざるをえないのはまちがいない状況だ。

■民主候補発表見送り

 石原知事が自民党の推薦を断ったのも、民主党の独自候補擁立が、お披露目を目指した28日の政治資金パーティーに間に合わなかったのも、有力な候補が政党から逃げ回っていることの表れだ。

 円より子都連会長はパーティーのあいさつで、石原知事を「都政を私物化している」と批判した。

 しかし、独自候補の擁立については「今、党内・党外で都民のための政治をしようという人が複数いる。最終局面の調整をしている。しばらくその名前は控えさせていただきたい」と述べるにとどまった。

 円氏は参加者からの批判を先取りするように、「(都知事選の候補者選びを)何をもたもたしているんだと、みなさんおしかりの気持ちだと思う」と語り、会場からは「その通りだ」との声が上がった。

 都連顧問であり、立候補を期待する声が上がっていた菅直人代表代行もマイクを握った。「私自身は、小沢代表のもと、トロイカ体制で国政でがんばり抜きたい。どうか私の気持ちをご理解いただきたい」と不出馬への理解を求めた。

 出馬を打診された小宮山洋子衆院議員や、立候補に前向きともとれる動きを見せていた海江田万里・前衆院議員も姿を見せた。

 海江田氏は壇上であいさつが進む間、都連幹部とは距離を保ったまま。会場を出たところで「浅野氏の出馬をどう思うか」と報道陣に問われたが、無言で去った。

 出席者からは、「浅野氏を支援して臨んだ方が得策だ」「党推薦を断った浅野氏の支援には抵抗がある」といった相反する声が聞こえた。

http://mytown.asahi.com/tokyo/news.php?k_id=13000000703010001