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2007年02月20日(火) 00時58分

ガス中毒の死亡事故、20年で199人 業界団体集計朝日新聞

 パロマ工業やリンナイの湯沸かし器による一酸化炭素(CO)中毒事故が相次いだ問題を受け、機器メーカーからなる業界団体「日本ガス石油機器工業会」は19日、メーカー側が集計した86年以降の約20年間の重大製品事故について集計し、公表した。CO中毒による死亡事故は129件199人で、経済産業省がほぼ同期間について把握している死者数の半数に満たない。国への報告を義務づけられているガス事業者に対して、法的義務のないメーカー側が事故情報を収集する態勢が十分でなかったことを改めて見せつけた。

 調査結果は、経産省の指示を受け、同工業会に加盟する26社が独自に集計した。死亡やCO中毒、火災といった重大事故の総件数は1476件だった。

 CO中毒死者数を機種別でみると、今月7日に横浜市の男性が死亡したリンナイ製品と同じ「開放式小型湯沸かし器」が最も多く78人。昨年7月に発覚した、パロマ製湯沸かし器の事故と同じタイプ「半密閉式FE(強制排気)湯沸かし器」で36人だった。

 メーカー側が、製品に問題があるとした「製品に起因」する事故は、ガス暖房機器で起きた1件だけで、91年にガスパイプが腐食してCOを含んだ都市ガスが漏れ、1人が死亡した。

 これに対し、換気をしないまま使ったり、浴室に湯沸かし器を設置したりする「誤使用」によるものが73件と最多で、次いで「原因不明・調査中」の38件となっている。

 年代別では、CO中毒による死者は95年までの10年間に集中しており、約4分の3にあたる150人が亡くなった。

 一方、経産省が都市ガス会社やLPガス業者から報告を受けているCO中毒などによる死亡事故は、統計のある86〜04年だけでも387件が発生し、414人が死亡している。この中には火災によって死亡したケースや自殺などを含むものの、多くはガス機器を使用中の中毒死だ。

 パロマ工業製品などの事故を受け昨秋、重大事故について、メーカー側の報告義務を定めた改正消費生活用製品安全法が成立。今春からの施行が予定されている。

 同工業会は「事故は古くなった製品に多く見られた。販売後のフォローや点検を増やすなどの働きかけが従来は不十分だった」と話している。重大製品事故の一覧は、同工業会のホームページ(http://www.jgka.or.jp)で確認できる。

http://www.asahi.com/national/update/0219/TKY200702190316.html