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2007年02月17日(土) 00時00分

昨年は1万7600件 救急出動 『安易な利用控えて』 東京新聞

 宇都宮市消防本部は昨年一年間の管内(同市、河内町、上河内町)の救急出動件数をまとめた。前年に比べて若干減ったものの約一万七千六百件で、十年前の約一・七倍に達している。救急車の利用増加は全国的な問題でもあり、同本部は安易な利用を控えてもらうために、市民に応急手当ての講習会への積極的な参加を呼び掛けている。

 同本部は増加の背景について、病気やけがになりやすい高齢者が増えているほか、核家族化の進行によって保護者が子どもの急病などの際に、助言を受けにくい状況になりつつあると分析。「以前は『救急車を利用するのは恥ずかしい』と近所の目を意識する人もいたが、今ではそういう考え方の人が減っている」とも。

 また、中には「子どもが転んで、ひざにすり傷ができた」「食べすぎで腹痛になった」「家庭で料理中に指をけがした」などと、応急手当ての知識を身に付けていれば、通報しなくて済むようなケースもあるという。

 当事者にとっては深刻な状況だったり、容体が急変する恐れがあったりするなど、通報すべきか判断が難しい側面もある。ただ、昨年実際に搬送された約一万六千人のうち、半数以上の約八千四百人は入院不要の軽症と診断されている。

 消防庁がまとめた二〇〇六年版消防白書によると、〇五年の出動件数は全国で約五百二十八万件で、十年間で約一・六倍に増加。これに伴い現場到着までの所要時間は長くなりつつあるという。 (松尾博史)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tcg/20070217/lcl_____tcg_____001.shtml