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2007年02月13日(火) 00時00分

フォークの聖地から自由が消える!?東京都が無粋な規制ZAKZAK

井の頭公園、登録料1万2000円は「高すぎ」

 武蔵野市と三鷹市をまたぐ井の頭公園内の七井橋から水門橋にかけては、ミュージシャンや大道芸人、自分の作品を売る露店などが並び、週末ともなると通行も困難な賑わいだ。

 「10年前から増え始めた。ピーク時には100組あまりが出演、出店していた」と話すのは、公園を管理する都西部公園緑地事務所の蕪山高好管理課長(55)。

 その井の頭公園で先月から「アートマーケッツ」という制度が始まった。公園内で自分の作品を売ったり、演奏して投げ銭を得るなどの『自己表現』で対価を得る場合は有料登録する必要があるという資格制度だ。

 規制の理由について、蕪山管理課長は「無許可の商業行為は都の条例で禁止されており、騒音や通行の障害になるとの苦情が近隣住民から寄せられていた」と説明する。

 一方で、近くの飲食店を経営する男性(30)が「パフォーマンスや露店目当てで来るお客さんが多い」、公園のすぐ側に住む主婦(39)も「騒音と思わない。子供たちも喜んで見に行っている」と語るなど好意的な人が多い。

 「確かに、公園の活性化に貢献している。このようなパフォーマーらの現状と法令上の規制を調和させるため」と、都は今回の措置が一方的な規制ではないと強調する。

 登録料は昨年12月末で1万2000円だが、国立市で自作のアクセサリーを売る女性(45)は「取りすぎという気がする」。散歩に来ていた主婦(75)は「住民から苦情があることを考えると妥当では」と語るように賛否両論だ。

 井の頭公園は桜の名所としても有名で、毎年春は花見客で賑わうが、付近の住民は「パフォーマンスよりも花見客や花火の音のほうが騒がしい」と口を揃える。

 この件について都は「昨年から夜10時までの利用に制限し、夜間パトロールを実施している」と説明するが、「実際は守られていない」(前出の主婦)という。

 井の頭公園ファンを自任する女子大学生(21)は「ここに来るミュージシャンは“羊”系のおとなしい人ばかり。花見で暴れるサラリーマンのほうがよっぽどタチが悪い」と語る。

 高田渡氏とも親交が深く、今も吉祥寺のライブハウスで定期的にライブを行っているフォーク歌手、なぎら健壱氏(54)は「ナンセンスもはなはだしい」と憤る。

 「自由に歌えないなら動物園と同じ。こんなことでは芸能は育たない。(登録のために)金を払う連中もどうかと思う。すべて管理し、みんなのものでなくなるなら『公園』という名前もやめてほしい」

 アーティスト支援事業「トーキョーワンダーサイト」など、芸術関係が何かと騒がしい都。そう目くじらを立てなくても、よいのではないですか。

 

ZAKZAK 2007/02/13

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_02/t2007021318.html