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2007年02月12日(月) 00時00分

取締役会で議論せず リンナイ事故 『器具に欠陥ない』ため 東京新聞

 ガス機器メーカー最大手「リンナイ」(名古屋市)の湯沸かし器による一酸化炭素(CO)中毒事故で、同社取締役会はCO中毒事故を議題にしたことがないことが十一日、分かった。同社は「取締役会で取り上げるのは器具に欠陥がある場合だけ」と説明している。 

 昨年七月に事故が発覚したパロマ工業(同市)も自社側で設置した第三者委員会が事故の防止が遅れた背景に取締役会の無機能状態があったことを指摘しており、消費者の安全確保に対するガス機器メーカーの消極的姿勢に批判が出そうだ。

 九日に公表した過去七年間の五件の事故では、調査中とする横浜市の事故を除きいずれも「顧客の使用方法による中毒事故」として欠陥はないと結論。器具に問題がないとの警察の判断を踏まえたという。

 詳細な調査のないままに取締役らには個別に伝えるにとどまり、取締役会の議題にしなかった。二〇〇四年の広島市の死亡事故でも早い段階から事故を認識していたが、機器が中古品であったとして詳しい調査を行っておらず、同社社員も「都合のいい解釈をしてしまったと思っている」と振り返る。

 一方で、過去には、給湯器の水漏れによるやけどの事故で部品の自主交換を行い、報道機関向けに発表したことがあるという。

 パロマ工業製の湯沸かし器事故は一九八五−二〇〇五年に二十八件発生し、二十一人が死亡。品質管理部から会長ら上層部に事故情報が伝わっても、リンナイと同様に「製品に欠陥はない」として対応を取らなかった。

■後継機種は除外

 「リンナイ」製の開放式小型湯沸かし器による一酸化炭素(CO)中毒事故で、同社が実施している無料点検の対象に、事故を起こした機種と同じ仕組みで、デザインを変更しただけの機種が含まれていないことが十一日、分かった。

 リンナイは危険性が低いことなどを対象に含めない理由としているが、事故につながる可能性は捨てきれず、ちぐはぐな対応となっている。

 この機種は「RUS−51DT」。一九九四年から九六年まで製造された。点検対象となっている「RUS−51BT」の後継機種で、機器の構造は同じ。

 このため、不完全燃焼防止装置の作動による燃焼停止と再点火の操作を数百回繰り返すと、防止装置が作動しなくなり、CO中毒事故を起こす可能性がある。

 「51DT」は、事故を起こした「RUS−5RX」に、二十分間で燃焼を強制的に止めるタイマーを付けたタイプ。

 同社は「経済産業省から現在、二機種(5RXと51BT)に関する調査を指示されており、対応を急いでいる。しかし、二機種の技術的な検討を進めた後、51DTも検討し、無料点検の対象に含める可能性はある」(総務課)としている。

■湯沸かし器とストーブ調査 経産省、業界に要請

 経済産業省は十一日、日本ガス石油機器工業会に対し、ガス事業法などで規制対象となっている湯沸かし器とストーブを製造・輸入する全社からCO中毒事故や火災などの重大製品事故を調べ、同工業会のインターネットホームページ(HP)で公表して消費者に注意喚起するよう口頭で要請した。

 リンナイ製ガス湯沸かし器の事故や、十日に神戸市で起きた鳥取三洋電機製ガスストーブによる死亡事故を受けた緊急措置。

 同工業会は十一日、メーカー側に、事故が発生した年や機種名、原因などを十五日までに報告するよう指示。HPへの掲載は十九日になる予定。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070212/mng_____sya_____009.shtml