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2007年02月06日(火) 14時11分

県、犬猫引き取り有料化朝日新聞

◇生後90日以下 10月から400円◇

 県は犬や猫の引き取りを有料化する方針を決めた。生後90日以下なら1匹400円、91日以上なら2千円の手数料を飼い主に課す内容で、県手数料徴収条例改正案を2月県議会に提案する。10月施行の見通しで、手数料は引き取った犬や猫のワクチンやえさ代などに充てられる。県公園自然課は「飼うなら『終生飼養』が原則。飼い主の自覚を促したい」としている。(下司佳代子)

 ▽譲渡はわずか

 飼い主が飼えなくなった犬や猫は、県東部、中部、西部の3総合事務所に持ち込まれる。「引っ越しするから」「知らない間に妊娠したけど、子どもはいらないから」「年をとってもうすぐ死にそうだから」と持ち込む理由はさまざま。東部総合事務所生活環境課の担当者は「皆さん、連れて来る時はあっさりしています。すでにいろいろ考えたうえで来ているからなんでしょう」。

 引き取られた犬は年齢や大きさ、健康状態、しつけなど、一般の人が飼えそうかを総合的に判断され、譲渡が見込めそうな場合は1カ月以上留め置かれる。だが、それはごく一部に限られる。05年度に引き取られた犬や猫、飼い主がおらず捕獲された野良犬などは計3992匹で、このうち3826匹までが殺処分されている。

 特に猫の引き取りは増加傾向にある。県によると、00年度に2038匹だったのが、03年度には3170匹に。05年度は2783匹だったが、新しい飼い主に譲渡されたのは19匹だけ。「自分ではどうしようもないから」と生まれたばかりの子猫が5、6匹まとめて持ち込まれることが目立つが、「目も開かないほど未熟な状態で新しい飼い主に譲渡しても育てるのが困難」として譲渡対象にならないことが多いという。

 ▽最期みられず

 県東部総合事務所に引き取られた犬や猫は、鳥取保健所犬管理所(鳥取市松並町3丁目)に移される。1月中旬の管理所には、畳2枚分ほどの犬房が五つとキャスター付きのおり三つに計12匹がいた。このうち譲渡対象になるのは、珍しい四国犬やお座りができる子犬など5匹だけ。

 捕獲された成犬の野犬はしつけるのが難しく、ほとんどが処分されるという。人が鉄格子に近づくとしっぽを振って近づいてくる野犬もいる。「元は飼われていた犬だと思います」と担当者。首輪の周りや足の毛が抜けた犬はじっとしていられず、夜鳴きも止まらないという。脱水症状で目が陥没し、動けなくなっている犬もいた。

 「放っておいても数日の命なのに。全然知らない場所で不安の中で死ぬより、犬も最期まで飼い主の所にいたいと思います。信じていた飼い主に捨てられるんですから犬もつらいでしょう」

 ▽1匹10円で

 各事務所に引き取られた犬や猫は最低3日、各総合事務所のホームページで写真が公開される。それでも飼い主や譲渡先が見つからないと、毎週金曜にまとめて二酸化炭素を充満させた処分機で殺処分される。県は焼却場を持っていないため、死骸(し・がい)は県外の業者に1匹10円の処理費で引き取られ、植物用の肥料に加工されるという。

 引き取り手数料について、県が昨年末から今年初めに募ったパブリックコメントには県内外から51件が寄せられ、賛成は34件だった。賛成・反対ともに遺棄の増加を懸念する声が多かったという。県公園自然課は「22都道府県が手数料を導入しているが、有料化により、公園などへの遺棄の増加は認められない」としている。

http://mytown.asahi.com/tottori/news.php?k_id=32000000702060003