記事登録
2007年01月27日(土) 00時00分

海外視察66人で6600万円朝日新聞

  横浜市議に対し、1期4年の任期中に最大120万円が交付される海外視察制度について、朝日新聞横浜総局が関係書類を集計したところ、03年の前回改選以降、66人の市議がこの制度を利用し、計約6600万円が支出されていたことがわかった。議長あてに提出された「海外視察願書」の目的欄には「文化芸術施設視察」との記載も目立つ。なかには観光旅行とほとんど変わらない「視察」もあるとして、市議会内部からも見直すべきだとの指摘が出ている。

(太田泉生)

  横浜市議の海外視察については「横浜市会議員の海外視察取扱い要綱」で定められている。1期4年間の任期で交付される視察費の上限額は、1期目の議員で60万円、2期目以降の議員は120万円となっている。

  議長あてに視察前に「海外視察願書」と、視察後に「報告書」をそれぞれ提出することも定められており、この二つの関係文書をもとに朝日新聞が集計した。

  それによると、04年4月から06年7月までに、92人いる市議のうち、約7割にあたる66人が海外視察制度を利用した。利用した議員の会派は、自民、民主、公明と無所属クラブに限られていた。12の視察団に分かれて実施され、ほかに中止になった2視察団のキャンセル料44万円も含めると、合計で6663万円が支出されていた。

  大半は10日〜2週間の視察で、議員1人当たり100万円前後の支出だった。

  視察報告書によると、04年7月には自民8人と民主1人が2週間の日程で、ルーマニアやオーストリアを訪れた。ルーマニア大統領に横浜市長の親書を手渡したほか、ルーマニアのドナウ川を視察。「都市デザイン」視察としてウィーンの建築物を訪れた。

  報告書には領収書の添付義務はない。

  民主の星野国和団長は「自分自身は1期目で一度行ったが、それ以降(5期目)は行っていない。誘われたが、市政の参考になるとは思わなかったからだ。今後は額などで見直しが必要だと思う」と話す。

  一方、自民党の大久保純男団長は「団で協議していないのでなんとも言えない」としている。

  共産と、ネットワーク横浜は「海外視察が必要な場合もあるが、現状は費用のかけすぎ」などとして、海外視察の実施を凍結している。

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000701270005