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2007年01月21日(日) 06時07分

逮捕時「証拠ある」 富山の無実男性の兄に県警朝日新聞

 富山県警が強姦(ごうかん)事件などで逮捕し有罪判決を受け服役した男性(39)について「客観的証拠がない中の逮捕で無実だった」と発表した問題で、金沢市内に住む男性の兄が20日、朝日新聞の取材に、県警から逮捕当時「証拠がある」と言われていたことを明らかにした。また、県警は取り調べの時点で、アリバイ成立の可能性に気付きながらも「偽装だろう」と思い込み詳しく調べていなかったこともわかった。

 兄の話では、男性は任意の調べを受けていたころ、家族に泣きながら「やっていない」と言っていた。兄は県警に「帰してくれ」と求めたが、「証拠があるから」と拒否されたという。兄は「いまになって客観的な証拠がないとはどういうことか」と批判した。

 県警は19日、男性宅からの電話の発信時刻と犯行時刻が近く犯行が物理的に不可能だとわかったことなどから、男性を無実と判断したと説明した。だが、実際には取り調べ中にアリバイが成立する可能性に気付きながらも「偽装だろう」と思い込み、裏付け捜査をしなかったという。

 また県警が男性宅を家宅捜索した際、現場で見つかった靴跡と同じサイズの靴を見つけられなかったのに、「捨てたに違いない」と疑問を持たなかったこともわかった。

http://www.asahi.com/national/update/0121/TKY200701200320.html