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2007年01月12日(金) 00時00分

キャッチ救済NPO装う 絵画レンタル詐欺 東京新聞

 指定暴力団山口組後藤組系組幹部らの絵画レンタル詐欺事件で、佐藤幸雄容疑者(50)らのグループは、キャッチセールスの被害を取り戻す民間非営利団体(NPO)を装って絵画購入の勧誘をするなど、レンタル事業が正規のものであるように見せかけていたことが十二日、警視庁組織犯罪対策四課の調べなどで分かった。

 同課や関係者によると、佐藤容疑者らは、以前キャッチセールスで高級商品を買わされた経験のある女性を狙い、「絵を買って(ホテルなどに)貸し出せば、前に損した分を取り返せる」などと持ち掛けていたが、その際、同容疑者が実質経営していた絵画販売会社「アートクラシックス」の女性勧誘員らは、マニュアルに従って、実体のない関連絵画レンタル請負会社「JRS」や「MCS」の名前を使い、勧誘していた。

 勧誘相手との面談では、スーツ姿で法律関係の本を携え、キャッチセールスで被害にあった人たちを救済する団体やNPO法人の関係者であると偽ったり、「政府の仕事をしています」と語ったりしたという。

 昨年三月ごろ、絵画購入者が受け取る「レンタル料」を支払えなくなると、レンタル会社の名前で「怪文書が出回った影響で、レンタル事業を一度整理しなければならなくなった」と偽った文書を購入者に送付。契約時に「ホテルにそのまま貸す」などとして購入者には渡していなかった絵画を“返却”していた。こうした絵画は実際にはほとんど価値のないものだったとされる。

 アート社は、絵画購入者からだまし取った四億円のうち、約九千四百万円を「レンタル料」として購入者に返還し、信用させていた。しかし、勧誘員への報酬などを除く、約一億三千万円の使途が分かっていない。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070112/eve_____sya_____007.shtml