取り組みを企画したのは、出雲市渡橋町の広告代理店「アルテミスコーポレーション」。同社は出雲、松江、米子の各市周辺地域にある飲食店などの広告やイベント情報を掲載するホームページ「まいぷれ」を開設している。
社長の渡部幸太郎さん(28)は出雲市出身で、県外の大学に進学後、東京で就職。しかし、ふるさとを元気にする仕事がしたいとUターンし、2005年5月に起業した。3地域で660店舗の情報を載せたホームページには、1日20万件の閲覧があるという。
起業して半年後、渡部さんは「地域情報を紹介するだけでなく、僕らが商店と消費者の間を取り持つことで、地域の役に立てないだろうか」と考え、街灯を地域に贈る「まいぷれ防犯灯設置プロジェクト」を発案した。05年11月に出雲市周辺で、昨年6月からは松江市でも始まった。
仕組みは、地域の参加店がポイントカードを客に配布し、客が参加店を利用するたびに判子を一つ押す。カード1枚は判子10個でいっぱいになり、それが地域の全参加店で計500枚になれば、同社が防犯灯5基程度を寄贈する。防犯灯の費用は参加店からの広告料の一部を充てる。
昨年12月に出雲エリアで500枚を突破し、同社が出雲市に3基、斐川町に2基を贈った。12月28日に斐川町黒目で第1号の防犯灯が設置され、本田恭一町長や地元住民ら約30人が集まって点灯を祝った。地元代表の黒目新田自治会自治委員の常松均さん(42)は「通学路でもあり、感謝している。地元の店や企業がこんな活動をしているとは知らなかった」と喜んでいた。
渡部さんは「普通のポイントカードと違い、消費者には直接の利益はないため、どれほど協力してもらえるか不安だった。でも、予想以上に早くカードが集まり、地域住民の熱意を感じた。これからも地域に役立つ活動をしていきたい」と話していた。
参加店などの詳細は「まいぷれ」(http://www.mpsanin.com)で掲載している。