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2007年01月09日(火) 00時00分

大型車の車輪脱落防げ ボルト締めすぎも点検  東京新聞

 大型車の車輪脱落が相次いでいる問題で、国土交通省は、車検や法定点検の際にタイヤをすべて外し、適切にボルトを締め直す整備を義務付けることを決めた。省令などを改正し、今年四月の施行を目指す。現行の点検では緩みを点検するだけで、締めすぎをチェックする規定はない。最近の車輪脱落は締めすぎによるボルトの破損が原因となるケースが多く、三カ月に一度の点検が徹底されれば、車輪脱落防止に威力を発揮しそうだ。

 百数十キロもの重さのあるタイヤが走行中に外れる大型車の車輪脱落は、毎月平均五−六件発生。判明分だけで一九九九年以降、タイヤに直撃された通行人ら三人が死亡、約三十人が負傷した。

 過積載や車輪のホイールを車軸に固定するボルトの折損、車軸と車輪をつなぐハブという部品の破損が原因だったが、三菱ふそうトラック・バスなど二社が二〇〇四年にハブのリコール(無料の回収・修理)を届けて強度のある新型ハブに交換してからは、冬用タイヤの履き替え時に締めすぎたボルトが走行中に折れる脱落などが目立ち、冬場に集中している。

 このため、同省は省令を改正し、大型車の点検時は必ずタイヤを外し、ボルト一本一本のひびや変形を調べ、規定の強さでタイヤを装着し直さなければならないことにした。

 国の指定整備工場が違反すると、指定取り消しや最大六カ月の指定停止措置の対象となる。

 大型車メーカーのディーラーの多くは国の指定整備工場でもあるため、民間車検業務をできなくなる指定取り消し・停止処分を恐れ、各ディーラーの順法意識が高まると期待されている。

 締めすぎの実態は、三菱ふそうの徹底調査で分かった。鹿児島県で〇六年十月に大型トラックの新型ハブが破断した車輪脱落を受け、同社はハブの亀裂もボルトの締めすぎが要因として、約七百五十台を緊急点検。大半に締めすぎの整備不良があり、新型ハブの亀裂も五台で確認した。

 同社系列の整備工場の約二割が車検や法定点検時、「締め付け時間の短縮」のため、電動式工具でボルトを締めすぎるなどの実態も判明した。

 大型車は三カ月法定点検が義務付けられているが、罰則がないため実施率は約五割にとどまり、今後は実施率アップが業界全体の課題になる。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070109/mng_____sya_____008.shtml