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2006年12月31日(日) 03時04分

<無戸籍>離婚後265日で誕生の男児、1歳でやっと登録毎日新聞

 離婚後300日以内に生まれた子は「前夫の子」とする民法の規定を覆し、神戸市東灘区の井戸正枝さん(41)=兵庫県議=は、裁判を経て我が子を「現夫の子」にした。さいたま市で生まれて2年たつのに戸籍に登録されていない女児の存在が明らかになったが、このケースでも生後1年間、男児が登録されなかった。井戸さんは、その間を「生後間もない子を抱えており、精神的、肉体的に大きな負担」と振り返り、法改正の必要性を訴える。【工藤哲】
 井戸さんは01年11月から前夫と別居、02年3月に調停離婚が成立した。団体職員の智樹さん(47)とは02年1月から同居を始め、同11月に結婚、海如(みごと)君が生まれたのは、離婚成立から265日後だった。
 芦屋市役所に提出した出生届はいったん受理されたが、その後市役所は「前夫を父とする出生届を提出するように」と連絡してきた。担当者から「前夫の子にするしか方法がない。離婚したペナルティー」とも言われたという。
 戸籍登録のためには、前夫が自分の子であることを否認する「嫡出否認」か「親子関係不存在確認」を家庭裁判所で認めてもらうなどの方法がある。そのためには、前夫の証言が必要だが、井戸さんは、前夫の証言を必要としない形で父子関係を認めてもらえないかと研究した。
 法務省に相談のうえで、智樹さんを相手に海如君を我が子と認めてもらう「強制認知」の裁判による判決で法的な保障を得ることができることを確認。03年9月に神戸地裁尼崎支部に提訴した。争いはないため、同11月には海如君が智樹さんの子と認められた。
 当時フリーライターだった井戸さんは、子育てと並行して国会議員や弁護士に相談するため奔走、裁判をすると決めてからも必要な書類をそろえる作業などに追われ、母乳が出にくくなったという。智樹さんは「子供は、祝福されて生まれてきたはずなのに、やりきれなさを感じた」と振り返る。
 井戸さんは05年3月、NPO「親子法改正研究会」(大阪市福島区)を設立、同様の相談に応じたり、民法の改正運動に取り組む。「離婚相手と会いたくないとの思いや裁判への負担などから、仕方なく前夫の戸籍に登録する人もいるのではないか。離婚が多くなり、手続きも長期化するケースが出ている。男女の関係は多様化しており、この規定は必要ない。今のままなら生まれてくる子供の権利を守ることができない」と話す。
 ◇離婚と親子関係 民法772条は離婚から300日以内に生まれた子供は離婚前の夫の子と推定すると規定。DNA鑑定で前夫の子ではないと判明したり、別居状態が長く前夫との子がありえない状況でも、多くの役所は、裁判など法的な手段を講じなければ、規定に基づいて「現夫の子」としての登録を認めていない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061231-00000009-mai-soci