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2006年12月30日(土) 14時00分

拙速の死刑執行、将来に禍根=フセイン時代の清算成らず−イラク時事通信

 【カイロ30日時事】フセイン元イラク大統領に対する裁判の公平性への国際社会からの批判にもかかわらず、30日に死刑執行が断行されたことで、旧フセイン政権による数々の犯罪の真相は闇に葬られ、イラクの今後に大きな禍根を残したと言えそうだ。
 新生民主国家としてのイラクが、フセイン政権の犯罪の全体像をきちんと公正な裁判で検証し直すことは、4半世紀にわたり同国を支配した独裁政権の時代の「負の遺産」を清算して未来に向かうために当然必要な手続きだったはずだ。
 だが、元大統領が実際に最後まで裁かれたのは、比較的小規模な1982年のイスラム教シーア派虐殺事件「ドゥジェイル事件」のみ。処刑により、審理中だった80年代末のクルド人虐殺事件での訴追は打ち切られる。また、90年のクウェート侵攻や、91年の湾岸戦争後のシーア派弾圧といった大きな事件は起訴すらされずに終わった。
 控訴審に期限は設けられておらず、ドゥジェイル事件の判決確定を他の事件の結審まで遅らせることは法的に可能だったが、高等法廷はわずか2カ月足らずで控訴審を結審させ、早期死刑執行に道を開いた。
 さらに、裁判は当初から、スンニ派勢力などから「米国の利益のための裁判」「フセイン政権に弾圧されたシーア派とクルド人による報復裁判」と批判されたが、そうした批判を封じるのは、公明正大な裁判で元大統領らをきちんと裁くことによってのみ可能だった。
 しかし実際には、唯一結審した「ドゥジェイル事件」の裁判の公平性について国連や人権団体から批判が続出。死刑を執行しないよう求める声が国際社会で広がっていた。それに挑戦するかのように、拙速とも言える処刑に踏み切ったことで、真相解明より「報復」を優先したとみられかねない。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061230-00000031-jij-int