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2006年12月29日(金) 00時00分

巻き返しを図るドコモ、シェア争い山場は年末読売新聞

番号ポータビリティー制スタート、序盤戦はKDDIが他社引き離す

 10月下旬に鳴り物入りでスタートした携帯電話の番号ポータビリティー制度(MNP)、序盤戦はKDDI(au)が独り勝ちしたものの、NTTドコモはシェア1位の意地をかけ、“天王山”の年末商戦に向けて新製品を投入、KDDIを追撃する。

 11月末時点でKDDIとソフトバンクモバイルの契約者数は、それぞれ差し引き32万4900件と6万8700件の増加、NTTドコモは1万7500件の減少である。

 全体では、1か月余りの間に約68万人がMNPを利用した。この数は携帯加入者9400万人の約0・7%にとどまり、各社の契約者数シェアは、ほとんど変わっていない。ここまでの結果について、市場調査会社の専門家は次のように見る。

「事前には年間で約1000万人がMNPを利用すると予想したが、今のペースだと年間600万人程度なので、スロースタートの感がある。(序盤戦はKDDIの独り勝ちだが)本当の傾向を把握するには、少なくとも(携帯電話会社との契約更改が多くなる)年末商戦の結果を待つ必要がある」(MM総研ネットワーク研究グループ部長の横田英明さん)

 KDDIが幸先のよいスタートを切れたのは、より多くの新携帯端末を投入し、プロモーションにも力を注ぐなど事前準備が整っていたため。逆にNTTドコモは新端末の投入が、MNP開始当日に間に合わなかった。またソフトバンクはギリギリになって割引料金プランを発表したが、システム障害を招いて市場を混乱させるなど、奇襲がアダになった感があるという。

「システム障害は、予想外にソフトバンクから乗り換える人が多かったため。だからNTTドコモとKDDI(の関係者)が、『機会損失につながる』と怒った」(横田さん)

複雑な料金プランが足かせ

 全体的に移動が抑えられている理由は、各社の料金プランが複雑であるから。ユーザーはキャリアーを換えたくても、どこに乗り換えていいかわからない。その結果、「今のサービスにはちょっと不満があるけど、検討するのは面倒くさいので今のままでいい」ということになる。

 厳密に各社料金プランを比較・検討してみると、上位2社は実質的に差がない。ソフトバンクモバイルはそれより安いが、同社は基地局の整備が上位2社より遅れているため、若干つながりにくいという弱点を抱える。これらを総合的に判断すると、やはりユーザーは動きにくいのだ。

 今後の展開だが、まずNTTドコモは年末商戦に向けて、新型端末を集中的に投入し、巻き返しを図る。しかし同社のユーザーは年齢層が最も高く、今後若年層に魅力のある端末開発が課題となってくる。

 一方、ソフトバンクはやはり料金面で勝負せざるを得ないが、ボーダフォン買収の後遺症で資金繰りがかなり厳しく、これ以上の割引プランを打ち出すのは難しいと見られている。むしろ業界全体のあしき慣行である複雑な料金体系をやめて、単純明快なプランを他社に先駆けて提示することが期待される。

 全体的な流れとしては、家電量販店の売り場担当者から「既に当初の過熱ぶりはなくなり、今後沈静化に向かう」という声も聞かれる。

 しかし携帯電話の契約更改が増加するのは毎年、年末商戦と翌年3月の引っ越しシーズン。それが終わるまで、趨勢はつかめない。今は各社の料金プランを慎重に検討し、年末に投入される新端末の仕様も見てから決める、という潜在的なMNP利用者も多いはずだ。

「我々が事前に実施したユーザーへの聞き取り調査でも、利用意向の高いユーザーの大半が、半年以内に(キャリアーを)切り替えると回答している。したがって、ゴールデンウイークごろには大勢が決しているだろう」(横田さん)

 年末商戦を山場に、各社のシェア争いが激しさを増しそうだ。(小林雅一・ジャーナリスト/2006年12月22日発売「YOMIURI PC」2007年2月号から) 

http://www.yomiuri.co.jp/net/frompc/20061229nt03.htm