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2006年12月29日(金) 00時00分

中学生発「これを読め!」 碧南の書店朝日新聞

〜「おせっかい」フェア協賛〜

●古典や実用書 推薦120枚ずらり

 中学生に読ませたい500冊を紹介する「本屋のオヤジのおせっかい 中学生はこれを読め!」フェアに合わせて、碧南市の書店が、地元の中学生120人が選んだ「わたしの一冊」を紹介している。「500冊」にとらわれず、ベストセラーやロングセラーに入っていない本もあり、店のオヤジがにっこり笑ってこう言った。「本屋がどんなに面白い空間だったか、逆に中学生から教わった」(中沢一議)

 この書店は、碧南市新川町の「文化堂書店」(0566・41・1251)。創業五十数年になる町の本屋さんだ。

 フェアに合わせ、店主の榊原壮一さん(55)は「中学生の心をもっとつかみたい」と、地元の市立新川中学の生徒たちに選び直してもらった本だけを紹介する書棚を作ることにした。2年の担任の国語教諭磯貝和江さん(33)に依頼し、5人の図書委員を中心に本を選んでもらった。

 その際に榊原さんの目に留まったのが、「『わたしの一冊』を紹介しよう」と題した本の推薦文。磯貝教諭が生徒に書かせたもので、本の題名とあらすじを紹介し、最後に感想が載っている。

 重松清さんの『その日のまえに』を選んだ女子生徒は「この本の良いところは『生と死』をテーマにしているのに、ただ泣けるだけじゃなくて、どこか心が温かくなるところ」と書いた。

 星野夏さんの『あおぞら』を選んだ生徒は「あきっぽい自分がこんなに本に集中したのは初めてだった!」と率直だ。そのうえで「この本は、人と人とのかかわりとか命の大切さ、自分の身近にある幸せ、すべてを教えてくれます」と書いた。

 『龍時』(野沢尚著)は、「サッカー好きの人には『最高の1冊』」と紹介されている。

 さくらももこさんの本はやはり人気だし、携帯小説やライトノベルは確かに多い。ただ、少数派とはいえ、夏目漱石『吾輩は猫である』やユゴー『ああ無情』などの古典を選んだ生徒もいた。

 「こっちの思いこみとは関係なく、彼らなりの自分の世界、自分の感想が書かれていて、逆に教えられた」と榊原さん。

 なかでも榊原さんが心を動かされたのが「実用書」に近い本の紹介だ。

 例えば『雑学ブック 面白漢字編』。あらすじには「知っていて得になることは何一つないけど、画数が84もある漢字とかがあって、とても面白くて何度見てもあきない本です」と書いてある。その感想の出だしは「マジでムダだけど」とあって、「とにかくおもしろいので見てみてください」。

 榊原さんは、実用書に近い本については、特別な思い入れもなく並べていた自分の仕事ぶりも反省したという。「本屋の空間ってこんなに面白い空間だったんですよね」

 B4判の大きさの推薦文は120人分がひもでつるされた。磯貝教諭は「中学生も中学生なりに、いろんな思いを抱えがんばって生きているんだって、地元の人にも分かっていただけたらうれしい」と話している。

http://mytown.asahi.com/aichi/news.php?k_id=24000000612290005