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2006年12月28日(木) 00時00分

「飲酒逃げ得、解消まだ」  道交法改正試案 中日新聞

 警察庁が28日公表した道交法の改正試案は、急増するひき逃げの厳罰化が盛り込まれた。事故を起こした過失より、現場から逃げた行為の方が罰則は重くなる。ただ、飲酒運転で事故を起こしたドライバーがいったん現場から逃走し、より厳しい危険運転致死傷罪の適用を免れる“逃げ得”の解消を求めてきた遺族からは、「まだ不十分」との声も聞かれる。

 「飲酒ひき逃げは、殺人に匹敵する行為です」。厳罰化を求める遺族団体の共同代表、佐藤悦子さん(55)=大分県国東市=は断言する。

 24歳の二男が飲酒運転の車にはねられ、亡くなった。犯人は一時逃走して数時間後に出頭したが、体のアルコール濃度は下がっていたとみられる。判決は業務上過失致死罪などで懲役3年。その軽さに、佐藤さんはがくぜんとした。

 より厳しい危険運転致死傷罪の適用を望んでいたが、警察から「『正常な運転が困難な状態』とは立証できなかった」との趣旨の説明を受けた。

 「犯人は逃げて得をした」と憤りが募った。

 警察庁によると、昨年のひき逃げは約1万9700件で1995年の約3倍。急増の原因として指摘されているのが、2001年制定の危険運転致死傷罪の影響だ。

 悪質な飲酒運転などで事故を起こしたケースに適用され、被害者が死亡した場合の最高刑は懲役20年。これに対し、業務上過失致死傷とひき逃げ(救護義務違反)の併合罪の上限は懲役7年6月だ。全国交通事故遺族の会(東京)は「危険運転致死傷罪の適用を免れるため、飲酒の痕跡を消そうとして逃走が増えている」と指摘してきた。

 今回の試案で、現場から逃げた救護義務違反の罰則は「懲役5年以下」から「10年以下」に強化。事故そのもの(業務上過失致死傷罪、5年以下)より重くなり、併合罪は「15年以下」となる。

 だが、遺族の会理事の片瀬邦博さん(64)は「(危険運転致死傷罪の適用を免れる)“逃げ得”の問題は残ったままだ。さらなる厳罰化に向け、活動は続けていく」としている。


http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20061228/eve_____sya_____011.shtml