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2006年12月27日(水) 20時52分

安倍内閣のもろさ露呈 佐田行革担当相辞任朝日新聞

 相次ぐ不祥事で安倍政権が学んだのは、とにかく火消しを急ぐことだった。佐田行革担当相の辞任劇。首相官邸は傷口を広げまいと「辞任ありき」で突っ走り、佐田氏を振るい落とした。与党はといえば、政権の一大事なのに知らん顔を決め込むばかり。首相が論功行賞重視で組み上げた「功名が辻内閣」は、そのもろさを一層あらわにしている。

 「いずれにせよ党の話じゃない。イッツ・ノット・マイ・ビジネス(私には関係ない話だ)」

 自民党幹部の一人は27日朝、佐田氏の問題についてこう言い放った。対応は官邸任せ、ということだ。

 現職閣僚の辞任は、政権の屋台骨を揺るがす事態だ。ところが党内に緊迫感はなく、党本部は人影もまばら。党幹部も地元や海外旅行に向かったまま、ほとんど戻ってくることはなかった。中川秀直幹事長は、佐田氏の問題が表面化するという報告を受けたあとウィーンへ旅立った。

 もともと党内には、ただちに進退問題に発展するという危機感が希薄だった。事実関係がはっきりしないこともあり、「進退の判断は年明けじゃないか。違法性はないんでしょ」と語っていた党幹部もいたほどだ。中川昭一政調会長は、問題が報じられた26日に安倍首相と別件で会ったが、佐田氏の話題にはならなかったという。

 佐田氏の出身派閥・津島派にも、佐田氏を守ろうという機運はなかった。議員が集まることもなく、幹部の一人は27日朝、「佐田氏と話し合う予定はない。もう仕事納めだし、今年の仕事は終わり」と語ると地元へ。同じ津島派の片山虎之助参院幹事長は「やはり年を越さない方がよかったんでしょう。そういう自身の判断ではないか。ダメージになるが、やむを得ない」と述べた。

 公明党も、佐田氏の件では立場を鮮明にすることはなかった。北側一雄幹事長は佐田氏の辞任表明後、記者団に「(安倍政権に)影響がないとは言えない。失った信頼、失ったかもしれない信頼を回復できるように、しっかり取り組んでいくことが大事だ」と語った。公明党幹部は「虚偽の記載をしたならば、議員辞職すべき話だ」と話す。

 国会開会中なら野党からの追及は必至で、法案審議への影響は避けられない。その点、通常国会の開幕は1カ月後という時期に発覚したことも自民党の危機感を薄くしたようだ。ただ、民主党の小沢代表と菅直人代表代行、鳩山由紀夫幹事長は27日夜の会談で「閣僚辞任で済む問題ではない」との考えで一致。議員辞職を求める構えでいる。

 架空の支出はなかったが、不適切な会計処理があった——。佐田氏は会見で、今回の疑惑についてこう強調したが、その説明には疑問が残った。

 まず、「佐田玄一郎政治研究会」について活動の実体があることを確認した、と述べたことだ。

 政治資金収支報告書に記載されている所在地には、親族が経営していた企業の支店があるだけで、研究会としての賃貸契約はなかった。同社関係者らも「机もなく、常駐者がいたのも知らない」と証言している。

 これについて、佐田氏は「会合でお借りしていた」と答えたが、光熱費などの事務所費を支出している根拠としては説得力を欠いている。

 報告書には、研究会は、90〜00年に、事務所費や光熱費といった経費計約7800万円、政治活動費にも毎年300万〜4500万円の支出が記載されている。

 この支出について「群馬にある別の団体が支出した活動費などを研究会の支出として計上していた」と説明。不適切な会計処理だったと認めた。

 05年の政治資金収支報告書によると、群馬県内には佐田氏の政治団体が六つあるが、具体的にどの団体にいくら付け替えたのかについては言及しなかった。

 一番の疑問は、なぜ、支出をわざわざ付け替える必要があったのかという点だ。佐田氏の説明通りなら、この研究会からいったん、地元の政治団体に寄付したうえで支出さえしていれば、何の問題もなかったはずだ。

 これについて佐田氏は「会計責任者が未熟だった。地元が大変だったので、資金が足りない団体の活動費を研究会に計上した」と説明しただけだった。

http://www.asahi.com/politics/update/1227/013.html