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2006年12月26日(火) 08時33分

日興コーディアル不祥事 「水増し」依然不透明 上場維持へ信頼回復急務フジサンケイ ビジネスアイ

 金子会長、有村社長が引責辞任し、日興側が一定の経営責任のけじめを示したことで、今後は同社が明らかにした問題の事実認識や、1月15日までに提出する予定の決算の訂正報告書の内容に対する金融庁や東京証券取引所の対応が焦点になる。有価証券報告書の虚偽記載の悪質性などによっては、監理ポストにある日興株が上場廃止になる可能性もあるためだ。

 有村社長は、利益の水増しは「一社員の書類改竄(かいざん)が原因」としていた主張を軌道修正。不適切な利益計上に一定の組織的な関与があったことを認め、「組織ぐるみ」とみていた証券取引等監視委員会の指摘の受け入れに転じたものの、「経営陣が意図を持ってやったわけではない」と役員の関与は否定した。

 しかし、今回の辞任会見で明らかにした事実認識は、副社長や財務担当役員が経緯を説明した今月18日の会見内容とは、利益水増し問題の核心の事実認識が大きく食い違う。18日以前と以後で「経営の認識を変えたわけはなく、説明が不十分だった」(有村社長)という言い訳は、上場会社の適時情報開示としてはお粗末。重要事実の説明内容を、わずか1週間で翻した日興の姿勢を考えれば、「経営の関与はない」とする今回の主張もうのみにすることはできない。利益を水増した会計処理が、なぜ経営のチェックを素通りしたのか、問題の詳細は依然不透明なままで、金融庁による訂正報告書の検証など今後の調査によっては、虚偽記載の重大性の判断も変わってくる。

 また、仮に利益水増し問題の経緯が、日興側の説明通り経営陣の関与が一切ないまま起こったとすれば、逆に証券事業、資本市場のプロとしての日興の資質や、上場企業としての経営管理の適格性に大きな疑問符がつくことになり、いずれにしても上場廃止の危機に直面する。

 日興は訂正報告にあたって、当時の決算に適正意見を与えた担当監査法人の旧中央青山監査法人(現みすず監査法人)と協議する予定だが、作業は難航が見込まれており、経営トップの辞任でも、上場廃止の是非を含めた問題の収束にはほど遠い。

 一方、有村社長の後を受けた桑島新社長ら経営陣には、足元の業績への影響など事業上の難題も残る。公式に「組織的な関与」を認めたことで、企業など一部の機関投資家に出始めていた株式や社債の取引委託を取りやめる動きが今後広がることも予想されるためだ。

 米金融大手シティグループとの合弁で、法人取引の主体となっている日興シティグループ証券は、ただでさえ2006年9月中間連結決算で経常赤字と業績不振に陥っており、グループ全体の収益への傷はさらに大きくなる恐れがある。

 新経営陣はまずは地道な信頼回復に力を注ぐ以外にない。

 ただ、個人金融資産の「貯蓄から投資へ」の追い風で証券会社が攻めの経営に出ている最中、市場の信用を早急に取り戻すことができなければ、今回背負ったハンデは、取り返しのつかない“痛恨の一撃”になりかねず、桑島新社長には経営立て直しの質とスピードの両立が求められることになる。(池田昇)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061226-00000000-fsi-bus_all