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2006年12月25日(月) 00時25分

凶器の農薬が焦点 毒ブドウ酒事件、再審開始26日判断朝日新聞

 三重県名張市で1961年、ブドウ酒に入れられた農薬で女性5人が死亡、12人が中毒症状になった「名張毒ブドウ酒事件」の異議審で、名古屋高裁は26日、第7次再審請求審(同高裁)が認めた奥西勝死刑囚(80)の再審開始決定に対する検察側の異議申し立てに、決定を出す。

 過去、死刑確定後、再審で無罪判決が言い渡されたのは免田、財田川、松山、島田の4事件。異議審が検察側の異議申し立てを棄却すれば、名張毒ブドウ酒事件が5件目となる可能性は高まる。

 異議審の主な争点は、再審開始決定が認めた▽凶器の農薬は奥西死刑囚が自白したニッカリンTではない▽物証の王冠(四つ足替栓)は事件のブドウ酒瓶の王冠ではない▽2度開栓により奥西死刑囚以外の犯行が可能——とする弁護団の三つの新証拠と、自白の信用性などだ。

 再審開始決定は、これらの新証拠を「無罪を言い渡すべきことが明らかな証拠」とし、「自白の信用性には重大な疑問がある」と認定した。

 異議審での最大の争点は、事件の農薬が、奥西死刑囚が自白し、確定判決が凶器と認定したニッカリンTではなかったかどうかだ。弁護団は、新証拠とした2教授の鑑定書などで、ブドウ酒の飲み残りから、ニッカリンTに必ず含まれる成分が検出されなかったことから「凶器ではなかった」と主張。検察側は、含有量が少なく分解されて検出されなかったなどと反論した。

 事件は61年3月に発生。奥西死刑囚はいったん犯行を認め、逮捕、起訴されたが、公判で否認。津地裁は64年12月、無罪を言い渡した。しかし名古屋高裁は69年9月に死刑を宣告し、3年後の最高裁で確定した。

 その後、7次にわたる再審請求のすえ、名古屋高裁が05年4月、死刑執行を停止し、再審開始を決定していた。名古屋拘置所の奥西死刑囚は「大きな期待を寄せている」と支援者に語っている。

http://www.asahi.com/national/update/1225/TKY200612240222.html