悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2006年12月25日(月) 10時59分

「ヤフオク」トラブル増 入札資格緩和が背景に朝日新聞

 ネットオークションの国内最大手ヤフーオークションが今秋始めた入札無料キャンペーンをめぐり、参加者同士のトラブルが増えている。買う気のない入札者の価格つり上げや自作自演が多発。運営するヤフー(東京都港区)は入札キャンペーンに伴う金銭的被害の報告は増えていないとするが、同社の掲示板では管理強化を求める声も上がっている。

ヤフーオークションの仕組み

 ヤフーは10月11日、オークションの全商品への入札参加を登録会員全員に認めるキャンペーンを始めた。メールアドレス、郵便番号、生年月日などを打ち込めばだれでも無料で登録できる。

 出品や入札参加は従来、クレジットカード番号やネットバンク口座を登録し、会費を支払う会員に限っていたが、4月以降、段階的に条件を緩和。4月以前は約600万人だった入札資格者は10月末に1800万人に増えた。しかし、本人確認なしで複数の登録が可能なことから、自作自演と見られる価格操作や「いたずら入札」が多発。11月に発売されたゲーム機のプレイステーション3(PS3)には、1億円以上の入札がされる例も相次いだ。

 同社はトラブル相談の数や入札・落札件数を公表していないが、「いたずら入札やトラブルが増えているのは確か」(広報)と認める。その上で「買う気のない者は支払いをしないので出品者に被害はない。出品者側の本人確認は逆に強化しており、金銭トラブルは減っている」と説明する。

 しかし、利用者同士が情報をやりとりする掲示板では、「実害」報告が書き込まれている。

 【事例1】落札者と連絡が取れなくなった。次点入札者の価格に不満のため繰り上げなかったら、「非常に悪い」の評価をつけられた——

 ヤフーでは、利用者を「非常に良い」から「非常に悪い」まで5段階で評価する。マイナス評価になると参加を制限されることもある。同様の事例で、マイナス評価を避けるため「連絡の取れない当初の落札者との取引が成立したことにした」との書き込みもあった。この場合、実際には取引がなくとも、個人出品者は落札額の5.25%を同社に支払う必要がある。入札開始後の出品取り消しは525円がかかる。

 【事例2】一人が三つの登録IDを使い分け、一つで低価格で入札した上で、ほかの二つでは高値入札を繰り返し、他者の参加をためらわせる。落札しても連絡せず、次点はキャンセルし、低額で品物を手に入れる——

 出品者は、落札者を悪質と判断すれば排除できる。しかし評価は出品者・落札者同士でも行われるため、報復的な評価をされることもある。PS3では、自分以外の出品の妨害目的でもこうした不適正入札が行われていたと見られる。

 また、12月になって詐欺被害の訴えが相次いだ法人出品者「家電ドットコム」の問題では、当初、落札者からの高評価が200件もあった。これも「入札呼び込み用の自作自演では」との指摘が出ている。

 ヤフーは200人が交代で不正を監視し、ホームページで注意喚起しているが、あくまで「利用者の自己責任」が前提との立場だ。キャンペーンは来年6月まで。同社オークション事業部は「売れなかったものに買い手がつくなど入札拡大は相対的に出品者のメリットにつながる。不正対策は柔軟にやっていきたい」と話している。

http://www.asahi.com/national/update/1224/TKY200612240196.html