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2006年12月22日(金) 00時00分

奄美市、ホームページで危機訴え朝日新聞

 「2009年7月22日の皆既日食は本当に真っ暗になってしまう」——。奄美市が、深刻化する財政状況をホームページ(HP)上でこんな表現で示し、危機感をあらわにしている。一方で、財政を悪化させる公共事業については推進する方針で、市民グループからは「危機感を訴えながら、危機を深めているのは市自身だ」と皮肉る声も出ている。

 HPの題名は「このまま放っておくと大変なことになる」。10月に表示され、予算の内訳、地方債残高、残っている基金額などについて説明している。
 それによると、06年度予算の財源不足は14億7千万円。不足分を埋めるために使う基金はわずか15億円で、来年度で基金はゼロになる見通し。3月に3市町村が合併したため特例債による基金づくりができるが、「全部財源補填(ほ・てん)につかわれるおそれがある」。同市で見られる09年7月の皆既日食の頃には「本当に真っ暗」と、財政破綻(は・たん)を示唆している。
 一方で、同市は98億円をかけて同市名瀬の中心市街地に幅16メートル、長さ470メートルの道路をつくる区画整理事業を計画。事業費のうち65億円は市の負担だ。事業内容についてもテナントなどから「道路を広げて街づくりになるのか」と批判的な意見が強い。
 市は9月にあった県都市計画審議会で、委員から財政への影響を問われて、「15年間という期間を設けているので、大丈夫だという判断をしている」と財源の見通しがある趣旨の発言を繰り返した。
 ただHPに示された財政状況を見る限り、この事業の財源見通しは立てることができない。起債をした場合でも、負債が大きく膨らみ危機は深まりそうだ。昨年度の実質的な債務負担の割合を示す実質公債費比率が19・1%と「危険水位」の18%を超過している。
 このHPでは「エレベーターの職員利用の極力禁止」「カラーコピーの原則禁止」などを「対策」として盛り込んでいる。HP上での公開の狙いについて、則(のり)敏光・財政課長は「財政状況を理解してもらい、市民とともに財政の立て直しをするため」と説明する。
 これに対し、市民団体「新生奄美市を創る市民の会」の佐竹京子さん(65)は「公共工事が財政危機の大きな原因。こうした本質的なことに切りこまないと、エレベーターを使わないぐらいでは解決にならない。公開することはいいが、危機意識の薄さにはあきれている」と話している。

http://mytown.asahi.com/kagoshima/news.php?k_id=47000000612220003