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2006年12月22日(金) 00時00分

パロマ事故第三者委報告書朝日新聞

∞ 「企業の意識改善を」 ∞

 パロマ工業製のガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故をめぐり、同社が設置した第三者委員会は21日に出した報告書で、「製品の欠陥はなかったが、事故後の対応に問題があった」と結論づけた。96年に長男を亡くした松江市の山根健二さん(58)は「報告書を踏まえ、会社の責任と企業風土の改善を求めていきたい」と語った。(玉置太郎)

■遺族、対応の遅さ指摘

 報告書は、同様の事故が多発した92年当時に徹底的な点検をすれば、以後の事故を防ぐことができた可能性を指摘した。

 「報告書に記されているように、パロマが事故に対して適切に対応していれば息子は死なずに済んだ」

 一方で第三者委は事故原因を「安全装置の不正改造」と認定し、パロマから修理業者への指示はなかったと断定した。不正改造を誘因した「はんだ割れ」については、「高い割合ではんだ割れが発生していたという記録は入手できず、製品の欠陥とは認定できない」と判断した。

 「記録がないから欠陥製品ではないというのでは、調査の意味がない。事故の真相はまだ何も解明されていない」

  ◇      

 健二さんの長男敦さん(当時21)は96年3月、東京都内の自宅マンションで亡くなった。今年2月、健二さんらは心臓発作と聞かされていた息子の死の状況を詳しく知りたいと、赤坂署に再捜査を依頼。7月14日、湯沸かし器が原因の一酸化炭素中毒死と知らされた。10年前の警察の対応を、報告書は「捜査ミス」と批判した。

 「あの時、原因が解明されていれば、その後の犠牲はなかった」

 同日、パロマは会見を開き、「製品に問題はない」と責任を否定した。6日後、パロマの川瀬二郎副社長らが松江市の自宅を訪れ、「自社の製品でこのような事故が起き、申し訳ない」と謝罪した。

 「副社長個人には誠意を感じた。だが、企業としての事故発覚後の対応の遅さとの間にギャップを感じている」

 11月末、家電やガス機器などのメーカーや輸入事業者に重大事故の報告を義務付ける改正消費生活用製品安全法が成立した。健二さんは9月、経済産業省を訪れ、「事故防止のために取り組んでほしい」と訴えていた。

 「パロマの事故が発覚したことが改正の引き金になったはずだ」

 今月初め、賠償の話し合いを求める文書をパロマ側に送った。1週間後、パロマ幹部からは、「委員会の報告を待ってほしい」と電話があった。その報告書は、遺族に対しての「誠実な対応」を求めている。

 「あくまでパロマとの話し合いのなかで、会社の責任を明確にしたい」

 事故発覚から5カ月。各メーカーで欠陥製品をめぐるトラブルが相次ぐ。

 「企業側が製品の安全への考え方を改めない限り、こうした問題はなくならない」

http://mytown.asahi.com/shimane/news.php?k_id=33000000612220003