悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2006年12月19日(火) 11時06分

少女自らエンコーへ朝日新聞

【話を聞いてくれる・後腐れなく気楽・・・】
【孤独な心犯罪の自覚なく】

 携帯電話の出会い系サイトなどの掲示板に、児童買春や援助交際を持ちかけるような書き込みをするのは御法度だ。買春などの被害から18歳未満の子どもを守るため、3年前に施行された出会い系サイト規制法で禁じられた。子どもの方から援助交際の相手を募るのも違法だ。しかし、ツーショットダイヤルなどを通じて、自ら犯罪に巻き込まれやすいところへアクセスし、「被害児童」になるケースが後を絶たない。(高久潤)

【「被害児童」今年すでに30人】

 岩手県内の中学校を今春卒業したばかりの少女(15)が、守山市内で保護されたのは今年8月。少女は、児童福祉法違反容疑などで経営者(30)が逮捕されたデリバリーヘルス(派遣型性風俗店)で働いていた。

 捜査員が親元へ連絡すると、父親は「友だちのつてで盛岡市で働いていると聞いていた。携帯電話で連絡を取り合っていたが、まさか滋賀にいたとは」と絶句した。

 少女は中学3年だった昨年秋、出会い系サイトに書き込まれた募集広告を見て店に連絡。卒業後、「京都や大阪の近くだからブランド品が買えるよ」という誘いにのって働き始めた。少女の方から経営者に連絡をとり、「今日は仕事はないか」と尋ねるほど、積極的だったという。

 なぜ風俗店に、という捜査員の問いかけに、少女は「暇つぶし」「小遣い稼ぎ」と答えるだけ。適当に答えているとしか思えなかった。滋賀まで来たのはよほどの理由があったのかと思って尋ねても、はっきりしない。「自分が犯罪に巻き込まれているという意識が全くない。単純に被害者とも思えなかった」と捜査員は振り返る。

    ■

 ツーショットダイヤルで援助交際の相手を探し、これまでに13人と会ったという京都市の少女(18)に話を聞いた。

 それによると——。高校3年のときに暇つぶしで友だちと2人で始めた。友だちが受験勉強を始め、遠慮して一緒に遊ばなくなってからも1人で何となく続けた。ホテルへついて行くと、男がもう2人待っているなど、怖い思いをしたこともある。しかし、「エンコーにリスクがあるのは織り込み済み」という。

 家族は両親と妹の4人。悩みごとの相談は家族にはしない。2年ほど交際している彼氏はいるが、自分の話をするばかりで、こちらの話は聞いてくれない。

 「エンコー相手はいろいろ話を聞いてくれるし、後腐れもないから気が楽。いくらでもしゃべれるで」

 援助交際を続ける理由を聞くと、「精神安定剤のようなもの。誰かに話を聞いてほしいし、気が向いたら今もツーショットダイヤルに電話している」と話した。

    ■

 県中央子ども家庭相談センター(草津市)によると、援助交際などの性非行で保護された少女が、その動機を積極的に話すことはまずない。「やってはいけない」と頭ごなしに注意すると、「学校の先生みたい」と言って口を閉ざす。家族関係や友だちの話から始め、時間をかけて話を聞くしかない。

 多くの少女が、初めて会った相手のことを「一緒にいて楽しい」と話す。家庭の問題や対人関係の悩みなどを打ち明けているようだという。

 同センターの杉森正・主任専門員は「少女たちは大人が思っている以上に他人の目を気にしていて、思っていることを素直に話せる相手がまわりにいない。そんな心のすき間に援助交際の相手が入り込むのでは」と指摘している。

     ◇

 県警少年課によると、児童買春・児童ポルノ法違反や県青少年健全育成条例違反などの容疑で摘発された事件のうち、出会い系サイトの利用で、「被害児童」になったのは、今年に入って30人(11月末現在)。昨年1年間の26人をすでに超えている。

http://mytown.asahi.com/shiga/news.php?k_id=26000000612190003